スレ大杉なんで2chブラウザ推奨

これ参考にがんばって!!1 → 板追加手順

■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801- 901- 最新50


レス数が1000を超えています。残念ながら全部は表示しません。
ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘) Part2

184 :名無し募集中。。。:2012/01/05(木) 18:32:30.82 0
アル編 >>123-128,>>145-154つづきです


「せ・み・す・ま…すま……すみません?」

積み木を頭の中で並べ替えてそう聞くと、アルは頷いた。
先ほどから、この50音積み木を使って、アルと絵里は会話をしていた。

絵里は必死に、いままで入ってきた情報を整理させた。
アルの散歩中に衣梨奈が事故に遭ったこと。衣梨奈はトラックに撥ねられたこと。絵里の体は重症で、意識不明の状態であること。
そしてもうひとつ、アホに定評のあるアルが、積み木で絵里と会話していること。

此処まで来れば、もう、答えはひとつしかないのではないか。
絵里と衣梨奈が入れ替わったように、衣梨奈は今度は、アルと入れ替わってしまったのだ。
衣梨奈とアルは、同時に車に轢かれたことにより、同時に魂が飛び出てしまい、なにかの拍子で、互いの肉体に入ってしまった。

衣梨奈の魂が入っていた絵里の肉体は、トラックに撥ねられたことにより重症を負い、その中に入ったアルの魂の、意識は戻らない。
だが、衣梨奈にかばわれたアルの肉体は元気で、その中に入ったのは、絵里の肉体から飛び出た衣梨奈の魂だった。
だからこそ、アルとして生きている衣梨奈はこうして会話が出来ている。
そうでも考えないことには、この積み木の会話の説明がつかない。

185 :名無し募集中。。。:2012/01/05(木) 18:33:31.79 0
「すみませんはナシだって言ったよ?」

そうして絵里がアルの頭を撫でると、申し訳なさそうに「くぅん」と泣いた。
この声も、この仕草も確かにアルのものだった。だが、絵里はその奥に、生田衣梨奈を見つけたのだ。

絵里はふっと笑うと、ぽんと手を叩き、おもちゃ箱を漁った。
アルはきょとんとその姿を見ていると、絵里は中から画用紙とクレヨンを見つけた。
この際、これでも良いかと、絵里は白い画用紙に青いクレヨンで「あ」から順に文字を書き始めた。
「あ」から「お」を書き終えると、次の行へ行き、今度は「か」から始める。それを繰り返すと、無事に「ん」まで書き終えた。
指先が青いクレヨンで汚れながらも、絵里は「じゃん」とそれを見せつけた。

「絵里のお手製50音表ですよー今度はこれを指してくれる?」

一瞬だけアルは首を傾げたが、なにかを理解したのか、床に置いたその表の「は」を指したあと「い」を指す。
絵里はドキッとする。もう、間違いがない。

「えりぽん、アルと、入れ替わったの?」

アル、肉体はアルである衣梨奈は「た」と「ふ」を指し、最後に「ん」を指した。
そして「と」「ら」「つ」「く」と順に指したかと思うと、「か」「い」「た」「ん」と前足を置いていった。
さらに「お」「な」「し」と指すと、ひとつ吠えた。

絵里は一瞬だけ考えたのち、衣梨奈の言わんとすことを理解した。
トラックにぶつかったことと、階段から落ちたこと、入れ替わった原理は同じだと彼女は考えている。

186 :名無し募集中。。。:2012/01/05(木) 18:34:35.05 0
あり得ないとか非現実的とか言っている場合ではない。
現にこうして、生田衣梨奈の肉体に、亀井絵里の魂が入ってしまっているのだから。
そうであるならば、アルの肉体に、生田衣梨奈の魂が入っても、不思議はない。
いまの絵里と衣梨奈であれば、非科学的とされるUFOやポルターガイストをはじめとした、どんな不可解な現象でも信じられる気がした。

「絵里の体に入ってるの、アルなの?」

そう聞くと、衣梨奈は一瞬だけ迷うと「た」「ふ」「ん」と指していく。
彼女の答えを聞き、絵里は正直に、ホッとした。
アルの魂が入ったとすると、あのアホ犬は絵里の体でなにをするか分かったもんじゃない。
絵里の体でアルが吠える…犬食いをする……4足歩行になる………
挙句に用を足されたときには………やめよう、考えたくない。あまりにも悲劇的すぎて現実を見失う。
絵里は最悪の事態を想定し、頭を振った。

衣梨奈は絵里の太股に前足を置くと、「ほ」「ん」「と」「に」と順に指していく。
その足が「す」と「み」の場所を指したとき、絵里はお手をするように、衣梨奈の手を取った。
衣梨奈は「え?」という顔をすると絵里は笑い「だいじょうぶだから」と返した。

187 :名無し募集中。。。:2012/01/05(木) 18:35:14.84 0
確信はない。
此処までややこし入れ替わりが生じたいま、戻れる保証もなにもない。
絵里の肉体が目を覚ませば、アルは好き放題に生きていくだろう。それはもう致し方のないことだ。
そうなれば、亀井絵里として今後生きていくことはもう諦めざるを得ない。

だが、衣梨奈にはなんとしても、この肉体を返さなくてはいかない。
この場でいま、絵里の魂が衣梨奈の肉体から離れ、衣梨奈の魂がアルの肉体から離れれば、入れ替われる可能性は高い。
衣梨奈に肉体を返せるのであれば、絵里は犬として生きてやろう。この優しい子に、犬の一生を送らせるわけにはいかない。
だいじょうぶ、絶対に返すと、絵里は拳を握った。

なぜだろう、たった数週間の入れ替わりでしか知らない子なのに。
モーニング娘。で活動した期間はなかった。
同期でなくとも、同じグループで活動していたなら、ある程度の絆は生まれる。
その中でこんな感情が生まれるのなら理解できるのに、相手は全く知らない女の子だ。
10歳も違う、出身地も違う、タイプも似ていない、そんなに会話もしたことのない子なのに。

188 :名無し募集中。。。:2012/01/05(木) 18:35:40.95 0
それでも絵里は、衣梨奈に返したかった。
自分の肉体を取り戻したいのではなく、彼女に肉体を返したかった。

飼い犬でもないのに、アルを追い駆けて助けてくれたこの子に。
自分に責任を感じ、「すみません」と謝ってしまうこの子に。
犬になってしまった自分に弱音を吐かず、相手のことを考えているこの子に。
絵里を迷わずに追いかけて来てくれた、衣梨奈に。

絵里は不思議な感情を抱きながらも優しく微笑み、アルの肉体を抱きかかえた。
衣梨奈は驚いたような声を上げるが、絵里は「だいじょうぶ」と言うと衣梨奈をその腕で包み込み、自分の眠る病室へと向かった。

317KB
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

0ch BBS 2005-12-31