スレ大杉なんで2chブラウザ推奨
これ参考にがんばって!!1 →
板追加手順
第一倉庫はこちら →
/wolflog/
第二倉庫はこちら →
/wolflog2/
第三倉庫はこちら →
/wolflog3/
第四倉庫はこちら →
/wolflog4/
第五倉庫はこちら →
/wolflog5/
第六倉庫はこちら →
/wolflog6/
第七倉庫はこちら →
/wolflog7/
■掲示板に戻る■
全部
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
最新50
レス数が1000を超えています。残念ながら全部は表示しません。
ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘) Part2
1 :
名無し募集中。。。
:2012/01/01(日) 15:36:31.29 O
◇ふとしたはずみで生田衣梨奈と亀井絵里の身体が入れ替わってしまったことから巻き起こるストーリー
身体の入れ替わった二人とガキさんとの三角関係の行方は!?
【プロローグ】
|||9|^_ゝ^) <新垣さん聞いてください!ブックオフで新垣さんの写真集がすっごく安く売ってたんでコンプしました!
( ・e・)<な〜によそれ あたしの写真集が価値がないみたいじゃないの 「安く」は余計!「安く」は
|||9|^_ゝ^) <そんな事ないですよ えりなにとっては大好きな新垣さんのですもん
価値ありありですよ 安くですけどちゃんとお金は払って買ったんですから
お買い物上手って褒めてください あと写真集にサインしてもらって・・
♪〜トラワヨー プサンハンヘー アーイタイー
∩・e・)<はいもしもし おーっ!カメ〜 今夜?いいよ オッケー! んじゃね〜ハーイ・・ ポチットナ
|||9|#‘_ゝ‘)<亀井さんですか?
( ・e・)<えー?あん そーそー
|||9|^_ゝ^) <あっそうだ 今度写真集全部持ってくるんでサインしてもらって・・
(・e・* )〜♪今夜はカ〜メが泊まりにくるから さっさと仕事をおわらすべ〜 ガキカメー!ってか
|||9|^_ゝ^) サイン・・
|||9|^_ゝ^) ・・
|||9|‘_ゝ‘) <いいなぁ〜亀井さんは・・ えりなも亀井さんになりたいなぁ・・
◇とまぁそういうこって この後えりりんと身体が入れ替わったナマタがガキさんと
「ガキカメ〜」と言いながら肛門を広げたり広げなかったり
ナマタと身体が入れ替わったえりりんがガキさんにホッペを
_, ,_
( #・e・) <なんかムシャクシャするのだ
つ<;゜_ゝ゜>⊂ <痛たたたたたたた
ってされたりされなかったり・・
101 :
名無し募集中。。。
:2012/01/03(火) 23:49:56.46 0
>>100
そう言う田中さんの視線を追うと、見慣れない女の子にじーっと見つめられていた。あ、この子は確かあの動画で見た…。
「えっと・・・」
あまりにもまっすぐな目で見つめられて困っていると、田中さんが紹介してくれた。
102 :
名無し募集中。。。
:2012/01/03(火) 23:53:24.03 0
>>101
「その子、10期の佐藤優樹って言うと。佐藤、この人は卒業した8期のリンリン。まずはぶつかったら言うことあるやろ?」
「えっと…。こんにちは!」
「って、違うやろ!石田、どうなっとると?」
103 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:00:05.53 0
>>102
と、ちょうど楽屋の前を通った新メンバーらしき子に田中さんが声をかけた。
「だって鈴木さんが『誰かにぶつかったら挨拶するといいよ』ってまーちゃんに教えてくれたから…」
「違うでしょ!挨拶じゃなくて謝るんでしょ?」
104 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:05:02.84 0
>>103
「あ、リンリンマンだ!」
「あー、はいはい。まーちゃんはこっちの楽屋に戻ろうね」
「えー。まーちゃんもっとお話しするのぉー!」
105 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:07:40.91 0
>>104
呆然と見ているうちに佐藤ちゃんは石田ちゃんにずるずる引きずられていってしまった。
「まったく…。それにしても佐藤、どこでリンリンマンなんて呼び方覚えたんやろ?ごめんね、リンリン」
「あ、いえ。大丈夫デス。ハイハイ。それであの、生田ちゃんっていますか?」
106 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:10:00.22 0
sienn
107 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:10:40.58 0
>>105
「生田なら隣の9期10期とスマイレージの楽屋におると思うけど、なんで?」
「あまり話したことがないから話してみたいなと思いまして…。じゃ、隣に行ってみます」
「えー、リンリンさゆみを置いて行っちゃうのぉ?」
108 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:12:42.20 0
>>107
「リンリン、今日は時間あるんでしょ?さゆみんも後で話せばいいじゃん」
「あ、ハイ。新垣さん。道重さんもまた後で!」
思いがけず時間を取られてしまったけれど、改めて私は生田ちゃんに会うべく隣の楽屋に向かった。
109 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:18:51.67 0
リンリン編今日はここまでです
細切れでほんとすみませんでした
会話パートはつなげて読んでもらうと分かりやすいと思います
110 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:30:39.30 O
スレをまるごと埋め尽くそうという意気込みですねわかります
111 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 00:31:11.83 0
おつです
本人の声で脳内再生されそうなほどナチュラルに話し方が表現されてますなぁ
続きもお待ちしてます
112 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 01:40:54.27 0
ベリキュー編もリンリン編も乙です!
両方とも違った面白さがあってこの先も楽しみです
113 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 02:27:28.37 O
イイヨイイヨー
続き楽しみ!
114 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 05:16:05.74 0
リンリンはいいキャラやなあ
115 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 06:05:10.75 O
ほ
116 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 06:42:00.85 O
乙です
某ブログにえりぽんらしき書き込みがあるとかないとかw
117 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 08:08:33.92 O
リンリン登場キター!
118 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 10:49:27.18 O
>>116
ジャンヌ小町だっけ?w
119 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 11:40:10.38 0
ジャンヌ小町ですねww
ここも生田スレの一つですからなんだか言いますが微笑ましいです
120 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 12:50:01.82 0
このスレにいるからか
ジャンヌ小町はカメ(inナマタ)が家にいるときにやってるのでは…
とか考えてしまったw
121 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 13:39:32.06 0
正統派さん待ち
122 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:13:05.79 0
お疲れ様です いわゆる正統派です
ガキさん卒業は正直ショックでした…
でもここが正直スレのように息の長いスレになってくれればなあと思っています
つづきではないですが寄り道投下します
前スレ
>>924
のネタです 保全代わりにどうぞ
123 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:13:45.04 0
「アルは絵里に負けず劣らずアホだけど、よろしくねー」
衣梨奈は絵里の声を反芻しながら、飼い主に「アホ」と称された、亀井家の愛犬、アルを散歩させていた。
夕刻の日暮れ時、眩しいオレンジの太陽に目を細めながら、衣梨奈はアルのリードを引く。
「ととと…」
衣梨奈は犬を飼っていないため、散歩には慣れていない。
しかし、絵里の外見である以上はこのアルの飼い主にあたるため、散歩しないわけにもいかない。
溜息を堪えながら衣梨奈はアルと外へと出た。
アルは舌を出しながら意気揚々と走り出す。
歳はいくつなのかも聞いていないが、元気いっぱいに歩く姿を見ていると、なんだか微笑ましい。
犬を飼っていないにもかかわらず、衣梨奈は優しい気持ちになる。
アルに対する愛情とか、そんなものはいまのいままで持ち合わせていなかったのに、ふとした瞬間に、心が温まる。
「早く行こうよぉ」と急かすようにリードを引くその姿は、アホなのかもしれないが、どこか無償の愛を注ぎたくなる。
「アルー」
衣梨奈がそう呼ぶと、彼はピタッと立ち止まり、きょとんとした顔で振り向く。
「…ご主人?」と言わんばかりの疑問の表情を浮かべ、はち切れんばかりに振っていた尻尾がすっと落ちる。
ああ、もしかしたらアルは気付いているのかも知れないなと苦笑しながら、衣梨奈は「行こうか」と呟く。
なんだか、無性に切なくなるけど、いまさら嘆いても仕方のないことだと分かっているけれども、それでも衣梨奈は天を仰いだ。
124 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:14:17.66 0
いつになったら、戻れるのだろう。
いつになったら、生田衣梨奈として笑えるのだろう。
いつになったら、亀井さんとまた一緒に歩けるだろう。
一瞬そうして迷った瞬間、衣梨奈は握っていたリードの力を弱めてしまった。
それを気付いたかは定かではないが、アルはひとつ吠えたあと、勢いよく走りだした。
衣梨奈が「あ」と思った瞬間にはもう遅く、アルは衣梨奈の数メートル先を走っていた。
「ちょ、アル!」
衣梨奈も慌てて追いかけるが、アルは止まる様子を見せず、走る脚を早める。
「うへへぇ、ご主じ〜ん」と、まるで、久しぶりの主人との追いかけっこを楽しむようなその姿は、愛しいのだけれど、困る。
冗談じゃない、私はきみの主人じゃないっちゃん!
衣梨奈は嘆きながらも必死に走った。
すると、アルは速度を徐々に落とし、道の端で首を左右に振る。
おい、待て。まさか、と思うが、その予感は不運にも的中することになる。
「アル!」
衣梨奈が呼んだ瞬間、アルは道路へと歩を進めた。
マズい!と心の中に浮かんだとき、無意識のうちに衣梨奈はアルを追った。
瞬間、信号を無視したトラックが突っ込んできた。
衣梨奈の意識は、そこで途切れた―――
125 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:14:57.73 0
絵里は息を切らして病院内を駆け抜けた。
看護師になにか言われた気がするが、もう気にする余裕はなかった。
絵里が辿り着いたとき、そこには絵里の両親と、同期であるさゆみ、そして先輩の里沙がいた。
「生田……」
里沙の声に、絵里は反応できなかった。
それは「自分の」名を呼ばれていることに気づかなかったからではない。
みなが見つめるそのガラスの向こう、幾多の機械に囲まれて静かに眠るその姿に目を奪われ、それ以外の情報を失ったからだった。
「……うそ…」
絵里の視線の先に、彼女は、いた。
亀井絵里、魂は生田衣梨奈である絵里が、病室に眠っていた。
周りには生命維持装置や心電図の機械が存在し、なんの知識もない絵里ですら、いまの衣梨奈の容体が分かった。
「…アルの散歩中にトラックに撥ねられて…意識がまだ…」
絵里の母親が鼻をすする音がする。父親はグッと肩を抱き寄せる。
さゆみは黙って拳を握り締め、眠る「亀井絵里」を見つめ、隣に居る里沙も下唇を噛む。
なにが起きているのか、判断できない。これは、これが、現実?
126 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:15:25.11 0
絵里の中に居るのは、生田衣梨奈。
紛れもなく、生田衣梨奈の魂があそこにいる。
「どうして……」
絵里はずるずると膝を折り、地に崩れ落ちた。
どうしてこんなことになったのだろう。だれがこんなことをしたのだろう。
かみさま?気まぐれ?それとも運命?
絵里は最悪の事態を考えた。
このまま亀井絵里の肉体が死ぬと、どうなる?
当然、生田衣梨奈の魂の行き先がなくなる。
そのとき、運良く彼女の魂が元に戻れば良い。そして絵里が死ぬのならまだマシだ。
だが、もしそうならなかったら?
そもそも入れ替わったメカニズムですらまだ分かっていない。
あのとき、ふたりは「同時に」意識を失っている。同時に魂が抜けた結果、空洞になった互いの肉体に入り込んだという仮説を立てた。
それがカギだとすれば、今回のことは例外すぎる。
いま、絵里の肉体が空洞で衣梨奈の魂は抜けているとしても、その先はない。
衣梨奈の魂はどうなる?行き先のない、衣梨奈の魂は、何処へ導かれる?
絵里は自然と涙がこぼれ落ちていた。
どうして、だれが、なんのためにこんなことをしたのだ。
なんで、なんで、なんで!!!
127 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:16:01.97 0
「ワン!」
そのとき、犬の声がした。
その場の人間が振り向くと、廊下の向こう側から、勢いよく犬が走って来た。
絵里はその犬の名を知っている。それは、亀井家の愛犬である「アル」だった。
「アル、どうして入って来たんだ…」
絵里の父親はアルを抱きかかえて話しかけた。
アルはといえば、それが不服なのか、暴れて腕から逃げようとする。
いちばん懐いているはずの父親なのになぜだろうと一瞬だけ思ったが、そんなことはどうでも良かった。
衣梨奈が事故に遭った原因、それはアルの散歩だった。
信号無視のトラックに撥ねられたということだったが、そもそもは、アルが道路に飛び出たのでそれを衣梨奈が追ったのだ。
「ワン、ワン!」
アルは絵里を見て吠える。
どうしてこいつは、こんなときにも無邪気に吠えるのだろう?
アルが道路に飛び出なければ、衣梨奈は事故に遭わなかった。
アルを散歩させなければ、衣梨奈は事故に遭わなかった。
アルさえ、アルさえいなければ、衣梨奈は事故に遭わなかった。
128 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:16:25.47 0
絵里はぎゅうと拳を握り締める。あまりの強さに爪が掌に食い込む。
体の震えに気づいたさゆみは心配そうに絵里を見つめるが、彼女はその視線に気づかない。
絵里の肉体の死は、そのまま衣梨奈の魂の死を意味していた。
それは、絵里の両親を悲しませるが、衣梨奈の両親も悲しませることに繋がる。
衣梨奈の両親は、真実を知らないままに生きていくだろうが、本当の娘はもう死んでいるのだ。
そんな不幸、他にあるのだろうか?
すべては、この、アルのせいだ―――
絵里の掌から血が流れた。
アホみたいに無邪気に吠え、尻尾と愛想を振りまく、バカ犬のせいだ。
こいつのせいで、こいつのせいで、えりぽんは……
「アルの…」
低い声が響く。里沙はドキッとして顔を上げる。
そしてハッとした瞬間だったが、もう、遅かった。
「全部アルのせいだよ!」
絵里はもう、なにもかもが嫌になり、そのまま走り出した。
後ろで里沙の声が聞こえたが、もう振り返ることもなかった。
129 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:17:19.17 0
とりあえず此処までです
特別編というかアル編というか…
そんなに長くはならないと思います
130 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:20:00.71 0
だーいしにズルズル引きずられるまーちゃんがイイ
131 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:27:17.35 0
うわ…面白い
やっぱすごいわ
132 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 14:42:02.25 0
ジャンヌ小町と入れ替わりたい
133 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 15:08:20.35 0
正統派さんワッフルワッフル
134 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 15:31:41.82 O
まさかとは思うが
えりぽんの魂とアルの魂が入れ替わってるとか無いよね
135 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 15:37:17.14 0
なんてミラクル
136 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 16:28:25.09 0
ビクトリアステーション
137 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 17:50:23.11 O
>>134
前スレのネタはそんな感じだったけどな
138 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 17:53:56.57 0
予測レスやめてくれよ万が一当たったときにヒヤリだw
139 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 19:56:03.00 0
ホ
140 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 20:15:06.96 0
こんな手に汗握る話しまで読めるとは
141 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 20:44:26.59 O
ノノ*^ー^)<手にマラ握る?マラってなんちゃろ?
|||9|;‘_ゝ‘)<コラコラ絵里の身体で変なこと言わないで
142 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 21:10:02.72 0
ノノ*^ー^)<卒業前に新垣さんとお泊まりしたいっちゃけんね〜
|||9|‘_ゝ‘)<絵里もいれてよ〜
143 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 22:29:59.79 O
ワッフルワッフル
144 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 22:34:41.89 0
ナマタとガキさんのオールナイトニッポン聞いてたらガキカメ思い出したし泣けてきた
145 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:02:29.56 0
>>123-128
アル編のつづきです
日が沈んでいく屋上で、絵里は膝を抱えてひとり泣いていた。
アルに叫んだところでどうにもならないことくらい、分かっていたのに。
だが、叫ばずにはいられなかった。
あの犬のせいで、衣梨奈は死ぬかもしれないのだから。
「生田はっけーん」
屋上の扉が開くと同時に明るい声がした。
絵里はその声の主がだれか分かったが、振り返るのも億劫でそのままにいると、彼女は絵里の横に腰かけた。
「日が沈むねー」
暢気にそう言ってはいるものの、彼女の瞳は揺れていた。
彼女、道重さゆみが、自分の大親友である絵里の事故にショックを受けていることくらい、見れば分かる。
あれは絵里だけどえりぽんなんだよと言えば、もっとショックを受けることも、絵里は知っている。
146 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:03:42.56 0
「絵里の色やね…」
そっと呟かれた言葉は、山口弁に近かった。
博多弁を使うれいなの前でしか言わないその言葉をどうしていま言ったのかは分からない絵里は、ふっと顔を上げた。
「アルのせいじゃないでしょ」
「え…?」
「絵里はそういう子なんだよ」
さゆみは真っ直ぐに衣梨奈を見つめてそう言った。
その瞳はもう、揺れていない。彼女の真っ黒な瞳は、絵里のすべてを、知っていた。
「人が困ってるのを見過ごせない、自分より人、自然に手を差し伸べられる子なんだよ、亀井絵里は」
さゆみは遠く、日が沈む街を見つめながらそう言って笑う。
自分の話でもないのに嬉しそうに話すその姿は、なぜだろう、とても安心できて、とても寂しかった。
「生田が絵里を心配してるのは分かるけど、アルを責めるのは間違ってるよ」
優しい声から一転し、さゆみはハッキリと言い放つ。
彼女の瞳は、真っ直ぐだ。それが、怖い。だけど、美しい。
分かっている、彼女はいつも、正直だ。
さゆみだって、理不尽なこの事故に怒りを感じているし、絵里を心配し、精神的に不安定でもある。
だが、さゆみは決してその怒りや悲しみを人にぶつけない。「亀井絵里」を知っているさゆみだから、決して責めない。
さゆみは、そういう人間だ。
147 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:04:33.61 0
「……すみませんでした…」
本当は、最初から分かっていた。
衣梨奈が道路に飛び出したのは、確かにアルのせいだ。
だけど、アルを追って飛び出たのは、生田衣梨奈の優しさだ。
一緒に活動した期間はなくとも、入れ替わって過ごした期間に、絵里は衣梨奈のことを少しずつ理解してきた。
もちろん、生田衣梨奈のすべてを理解できるなんて思ってもいないけれど。
それでも分かることがある。
衣梨奈もまた、自分の心に正直に生きているのだ。
アルが道路に走っていった。それを衣梨奈は追ったのだ。
たとえ飼い犬でなくても、危ないと思ったから、ただ助けたいと思ったから、だから衣梨奈は走ったのだ。
紛れもなくそれは、衣梨奈の優しさであり、彼女の心だった。だれのせいでもない、生田衣梨奈の魂だった。
「じゃ、アルに謝ること。アホはまあアホだけど、絵里の犬なんだからね」
おい、人の犬をそこまで言うことはないだろ。いや、確かにアホですけど。
絵里は、さゆみなりの優しさに苦笑しながらも「はい」と返した。
するとさゆみも「よし」と頭を撫でて立ち上がった。凛としたその姿は、誇らしい、同期の姿だった。
「さゆみは帰るけど生田はどうする?」
「あ…もうちょっと、此処に居ます」
「そっか。あんまり遅くならないようにね。ガキさんには、さゆみから言っとくから」
148 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:05:09.20 0
そうしてさゆみは手を振って屋上をあとにした。
絵里はぺこっと頭を下げたあと、再び夕陽を見つめた。
世界をオレンジ色に染める切なくて、だけど何処か優しい色に絵里はどうしてか、涙が出そうになる。
こんな夕陽を見ながら、衣梨奈もアルとともに歩いていたのだろうか。
―絵里の色やね…
あの声は、いまにして思えば、同期ふたりのものだった。
博多弁を使う、此処にはいないもうひとりの同期、田中れいな。
彼女こそ、自分の心に素直で、その言動はときにメンバーをドキッとさせ、冷や冷やさせる。それが無性に、羨ましくもある。
今日、此処には居なくとも、れいなもまた、さゆみと同じように絵里を心配しているのだろうなと思った。
亀井絵里がどれだけの人に愛されているかを、絵里はいま、痛感した。
だけど、此処に居るのに、此処に絵里は確かに居るのに、と、絵里は目を伏せる。
いつになったら、戻れるのだろう。
いつになったら、亀井絵里として笑えるのだろう。
いつになったら、えりぽんとまた一緒に歩けるのだろう。
沈んでいく夕陽に目を細め、絵里は膝を抱えた。
ぎゅうと自分を守るように体を抱きしめ、絵里は目を閉じた。
149 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:06:13.31 0
何処かで犬の鳴き声がした。
絵里はひとつくしゃみをすると目を開ける。日はとっくに沈み、夜の静寂と冷たさに街は包まれていた。
あれ、此処は何処だっけと思うが、うっすらと記憶が邂逅する。そっか、あのまま寝ちゃったんだと絵里は苦笑した。
泣いていたのだろうか、頬には涙の痕が残っている。まるで子どもだと苦笑しながら拭うと、犬の声がした。
それがアルだと気づくのに時間は必要なかった。
アルは絵里の足元で尻尾を振ってこちらを見ていた。
真ん丸な瞳が無性に可愛くて、絵里は「よしよし」と頭を撫でる。
普段なら嫌がるのに、今日は大人しいなと思いながらも、絵里はアルに話しかけた。
「ごめんね…さっき」
アルは尻尾をすっと下ろし、吠えることをやめた。
「アルのせいじゃないのにね…」
これはなにかの罰なのだろうか。
絵里が生きてきて、なにか悪いことでもしたのだろうか。
かみさまの気に触るような、なにかとんでもないことをしでかして、衣梨奈にもその火の粉が降りかかったのだろうか。
絵里は泣きそうになるのを堪えながらただ無意識に「えりぽん……」と呟く。
150 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:06:54.13 0
リンリン編
>>108
の続きから投下します
151 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:06:56.19 0
瞬間、アルは耳を立て、ひとつ吠えたあと、走り出した。
突然の行動に絵里は眉を顰めるが、迷うことなくアルを追った。
まだ謝り足りてないよと思い、アルの背中を追うが、いかんせん、相手は犬、速い。
「アル、此処は病院だからー」
そんな病院で叫ぶ自分もどうかと思うが、絵里は止まらない。
とにかくアルを追うと、彼は突如、止まって、振り返る。
絵里も慌てて止まり、アルを見つめる。
アルの黒い瞳は真っ直ぐに、絵里を見つめていた。
どうしたのだろうと思うが、アルはなにも言わずにこちらをただ見ていた。
絵里は眉を顰めじっと彼を見るが、当然、なにも答えない。
だが、アルを見つめるうちに、絵里は奇妙な違和感を覚えた。
この感覚、前にも何処かで味わった。
そう、それはさほど遠くない過去、本来のものでないものを見るような、そんな感覚。
152 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:07:58.90 0
>>150
すみません アル編もうすぐ投下し終えますのでよろしくお願いします
まさかと思うが、もちろん確証はなかった。
絵里がなにかを言おうとすると、アルは再び走り出した。絵里は慌てて追う。
アルが入っていったのは、小児病棟の多目的ルームだった。此処は、小児患者の触れ合いの場になっており、さまざまなおもちゃが置いてある。
いまは夜のためか、人は誰もいなかった。
病院内で犬を連れているなど、不都合にもほどがあったので、絵里は正直ほっとした。
アルはそんなことも気にせずに、多目的ルームをウロウロする。
なにをしているのだろうと思っていると、アルはおもちゃ箱を倒した。
「あー!」と叫び、絵里は慌ててそれを元に戻すがアルは意に関せず、中身を物色する。
やっぱりアホ犬だぁと思っていると、アルは「くーん」と鼻で鳴き、それの上に前足を乗せた。
153 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:08:24.40 0
それは積み木だった。
正確に言うと、50音のうち、「な」と書かれた積み木。
絵里が思わず「は?」と口に出すと、アルは再び倒したおもちゃ箱から同じ積み木を見つけ出し、また前足を乗せる。
今度の積み木は「え」であった。
なにが言いたいんだろうと思いながらも「な、え?」と言うと、アルはまた積み木を探し、足を乗せた。
「こ?」
そう言うと、アルは吠えた。
あ、ごめん違ったね、と絵里は慌てて左に回転させると、それは「こ」ではなく「り」であった。
「な」と「え」と「り」……と考えていると、絵里は「あ」と口に出した。
「あんた、えなり君が好きなの?」
テレビに出ている俳優の名前を口にすると、アルは先ほどより強く吠えた。
どうも怒っているようだ。
「あー、そんなに吠えると聞こえるでしょ!」
絵里はアルの口をおさえると、答えに行きついた。
同じように「あ」と思わず声を上げたが、先ほどのそれとは質が違った。
自分の覚えた違和感、一瞬の感覚、そしてこの積み木……考えたって答えはひとつしかない。
現実離れしているとか、あり得ないとか、馬鹿げているとか思われても構わない。だって、絵里の魂が此処にあるのだから。
154 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:08:46.77 0
「えりぽん……?」
たったひとつの仮定に行きついたとき、アルはぱあっと笑顔を見せた。
そう、確かにアルは笑ったのだ。口を大きく開け、目を細めて、笑ったのだ。
その姿は、紛れもなく、あの日に見た、生田衣梨奈の笑顔だった。
155 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:09:42.68 0
アル編の2話でしたー
大方の予想どおりかもしれませんがご了承をw
156 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:13:24.33 0
なんかタイミングかぶっちゃったみたいですみません
改めてリンリン編投下します
157 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:15:49.50 0
「こんにち・・・ワァッ!」
隣の楽屋のドアを開けた私はまた誰かにぶつかられてひっくり返ってしまった。
「イタタ…」そう言いながら起き上ってみると、同じように起き上ってきたのは鈴木香音ちゃんだった。
「あ、リンリンさん!」
「香音ちゃん久しぶり〜!あの、生田ちゃ…」
「すみません!ケータリングが私を呼んでるんで失礼しまーす!」
158 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:17:21.68 0
生田ちゃんのことを尋ねる間もなく、香音ちゃんは走り去っていってしまった。
「あ、鞘師ちゃん…」
「香音ちゃん待ってよ〜!」
鞘師ちゃんも行ってしまい呆然としていると、譜久村ちゃんが苦笑しながら話しかけてきた。
「すみません、香音ちゃんいつもああなんです。何か御用でしたか?」
「あ、えーと。生田ちゃんいる?」
「えりぽんならさっき『電話かけてくる』って出て行きましたよ。たぶん廊下の長椅子のところじゃないかな」
「ありがとう」
と、譜久村ちゃんにお礼を言って私は楽屋を出ようとした。が、今度は誰かに背中から抱きしめられてしまった。
159 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:19:00.74 0
「リンリーン、私には挨拶なしぃ?」福田花音ちゃんだった。
「チョ、チョトマテクダサイ」
「あ〜、リンリンそんなにスマイレージの新曲気に入ってくれたんだね♪」
どうやらまだまだ生田ちゃんには会えないようだった。
160 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:21:58.16 0
>>157-159
リンリン編の今日の分は以上です
当初思ってたよりも長編になってきましたw
161 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:31:30.28 0
正統派さんの文章が好きすぎる件
アル編は予想通りwだがそこからどうなるのかも気になるところ…
リンリン編にも期待
162 :
名無し募集中。。。
:2012/01/04(水) 23:34:28.18 O
>>155
おつでした
マジでどう話をまとめるのか楽しみだ
>>160
なかなかナマタに会えないリンリンw
163 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 01:09:36.25 0
保
164 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 01:20:33.35 0
アル編感動した......
>>159
ワロタw
165 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 04:55:05.56 0
アル編
トラックじゃなかったかー予想が外れたなー
冗談はさておきイイヨイイヨー
亀の体(inアル)の意識が戻ったらエライことになりそうでwktk
リンリン編
香音とぶつかった時に入れ替わるのか!?って思ってハッとしたw
リンリンは目的の人に会うまでがひとつのクエストになって面白いわガンガレリンリン
166 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 06:37:58.51 O
なんか色々面白くなってきたw
167 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 08:53:04.98 O
どっちも楽しみだぁ
168 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 09:07:20.14 0
アル編のちゃゆううううううううううううが好きだな
ワッフル食べとく
169 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 11:15:36.55 0
ノノ*^ー^)<ワンワン
170 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 13:00:09.39 O
从;・ 。.・)<え、絵里…?
171 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 13:18:51.61 O
スピンオフ編(番外編)
2011年8月
日本の芸能界史上に残る一大激震が襲った
司会者島田紳助が暴力団との交友の事実が明らかになったことを受け
芸能界電撃引退を発表した
その後の暴力団排除条例誕生にともなう
芸能界における暴力団排除の動きがすすむなか
当時交際中の男が暴力団の名前を出しての恐喝で逮捕された加護亜依が
その後男が暴力団関係者であることが判明するやいなや
あらゆるショックで自殺未遂に陥ってしまった
さらに矢口真里が紳助ファミリーであることが災いし
暮れの紅白では返り咲きが期待されたモーニング娘。
初出場が期待されたドリームモーニング娘。をはじめ
ハロプロのアーティストは3年連続全滅の不名誉という異常事態となった
一般からは暴力団ガイドラインクロ認定の烙印を押されたモーニング娘。とハロー!プロジェクト
亀井絵里の、生田衣梨奈の、
それぞれの未来は・・・!?
次回本編につづく・・・?
172 :
171
:2012/01/05(木) 13:35:24.13 O
スピンオフ編は
>>171
のみです
この編を使うかどうかにつきましては
ほかの本編の作者さんの皆様におまかせします
173 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 13:37:27.32 0
使いません
174 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 14:58:18.42 0
今夜あたりアル編あげますー
あと2話くらいで終わる予定です
175 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 15:00:33.32 O
>>171
巣に帰れ
176 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 15:02:31.29 0
>>174
わんっわんっ!
177 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 15:05:22.97 O
>>175
ハチの巣にされたいんだな
178 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 15:14:57.92 0
さゆえり
http://st73.storage.gree.jp/album/23/42/27952342/3c440026_640.jpg
179 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 16:23:27.43 0
確かにさゆえり…w
180 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 17:19:02.35 O
えりえりが欲しいところw
181 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 17:37:31.50 0
さゆに頼めばえりえりをあげてくれそうなきも
182 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 17:43:03.34 0
要望に応えてまのえりをあげてしまうさゆ
183 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 17:47:40.32 O
Wえりなですね
184 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:32:30.82 0
アル編
>>123-128
,
>>145-154
つづきです
「せ・み・す・ま…すま……すみません?」
積み木を頭の中で並べ替えてそう聞くと、アルは頷いた。
先ほどから、この50音積み木を使って、アルと絵里は会話をしていた。
絵里は必死に、いままで入ってきた情報を整理させた。
アルの散歩中に衣梨奈が事故に遭ったこと。衣梨奈はトラックに撥ねられたこと。絵里の体は重症で、意識不明の状態であること。
そしてもうひとつ、アホに定評のあるアルが、積み木で絵里と会話していること。
此処まで来れば、もう、答えはひとつしかないのではないか。
絵里と衣梨奈が入れ替わったように、衣梨奈は今度は、アルと入れ替わってしまったのだ。
衣梨奈とアルは、同時に車に轢かれたことにより、同時に魂が飛び出てしまい、なにかの拍子で、互いの肉体に入ってしまった。
衣梨奈の魂が入っていた絵里の肉体は、トラックに撥ねられたことにより重症を負い、その中に入ったアルの魂の、意識は戻らない。
だが、衣梨奈にかばわれたアルの肉体は元気で、その中に入ったのは、絵里の肉体から飛び出た衣梨奈の魂だった。
だからこそ、アルとして生きている衣梨奈はこうして会話が出来ている。
そうでも考えないことには、この積み木の会話の説明がつかない。
185 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:33:31.79 0
「すみませんはナシだって言ったよ?」
そうして絵里がアルの頭を撫でると、申し訳なさそうに「くぅん」と泣いた。
この声も、この仕草も確かにアルのものだった。だが、絵里はその奥に、生田衣梨奈を見つけたのだ。
絵里はふっと笑うと、ぽんと手を叩き、おもちゃ箱を漁った。
アルはきょとんとその姿を見ていると、絵里は中から画用紙とクレヨンを見つけた。
この際、これでも良いかと、絵里は白い画用紙に青いクレヨンで「あ」から順に文字を書き始めた。
「あ」から「お」を書き終えると、次の行へ行き、今度は「か」から始める。それを繰り返すと、無事に「ん」まで書き終えた。
指先が青いクレヨンで汚れながらも、絵里は「じゃん」とそれを見せつけた。
「絵里のお手製50音表ですよー今度はこれを指してくれる?」
一瞬だけアルは首を傾げたが、なにかを理解したのか、床に置いたその表の「は」を指したあと「い」を指す。
絵里はドキッとする。もう、間違いがない。
「えりぽん、アルと、入れ替わったの?」
アル、肉体はアルである衣梨奈は「た」と「ふ」を指し、最後に「ん」を指した。
そして「と」「ら」「つ」「く」と順に指したかと思うと、「か」「い」「た」「ん」と前足を置いていった。
さらに「お」「な」「し」と指すと、ひとつ吠えた。
絵里は一瞬だけ考えたのち、衣梨奈の言わんとすことを理解した。
トラックにぶつかったことと、階段から落ちたこと、入れ替わった原理は同じだと彼女は考えている。
186 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:34:35.05 0
あり得ないとか非現実的とか言っている場合ではない。
現にこうして、生田衣梨奈の肉体に、亀井絵里の魂が入ってしまっているのだから。
そうであるならば、アルの肉体に、生田衣梨奈の魂が入っても、不思議はない。
いまの絵里と衣梨奈であれば、非科学的とされるUFOやポルターガイストをはじめとした、どんな不可解な現象でも信じられる気がした。
「絵里の体に入ってるの、アルなの?」
そう聞くと、衣梨奈は一瞬だけ迷うと「た」「ふ」「ん」と指していく。
彼女の答えを聞き、絵里は正直に、ホッとした。
アルの魂が入ったとすると、あのアホ犬は絵里の体でなにをするか分かったもんじゃない。
絵里の体でアルが吠える…犬食いをする……4足歩行になる………
挙句に用を足されたときには………やめよう、考えたくない。あまりにも悲劇的すぎて現実を見失う。
絵里は最悪の事態を想定し、頭を振った。
衣梨奈は絵里の太股に前足を置くと、「ほ」「ん」「と」「に」と順に指していく。
その足が「す」と「み」の場所を指したとき、絵里はお手をするように、衣梨奈の手を取った。
衣梨奈は「え?」という顔をすると絵里は笑い「だいじょうぶだから」と返した。
187 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:35:14.84 0
確信はない。
此処までややこし入れ替わりが生じたいま、戻れる保証もなにもない。
絵里の肉体が目を覚ませば、アルは好き放題に生きていくだろう。それはもう致し方のないことだ。
そうなれば、亀井絵里として今後生きていくことはもう諦めざるを得ない。
だが、衣梨奈にはなんとしても、この肉体を返さなくてはいかない。
この場でいま、絵里の魂が衣梨奈の肉体から離れ、衣梨奈の魂がアルの肉体から離れれば、入れ替われる可能性は高い。
衣梨奈に肉体を返せるのであれば、絵里は犬として生きてやろう。この優しい子に、犬の一生を送らせるわけにはいかない。
だいじょうぶ、絶対に返すと、絵里は拳を握った。
なぜだろう、たった数週間の入れ替わりでしか知らない子なのに。
モーニング娘。で活動した期間はなかった。
同期でなくとも、同じグループで活動していたなら、ある程度の絆は生まれる。
その中でこんな感情が生まれるのなら理解できるのに、相手は全く知らない女の子だ。
10歳も違う、出身地も違う、タイプも似ていない、そんなに会話もしたことのない子なのに。
188 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:35:40.95 0
それでも絵里は、衣梨奈に返したかった。
自分の肉体を取り戻したいのではなく、彼女に肉体を返したかった。
飼い犬でもないのに、アルを追い駆けて助けてくれたこの子に。
自分に責任を感じ、「すみません」と謝ってしまうこの子に。
犬になってしまった自分に弱音を吐かず、相手のことを考えているこの子に。
絵里を迷わずに追いかけて来てくれた、衣梨奈に。
絵里は不思議な感情を抱きながらも優しく微笑み、アルの肉体を抱きかかえた。
衣梨奈は驚いたような声を上げるが、絵里は「だいじょうぶ」と言うと衣梨奈をその腕で包み込み、自分の眠る病室へと向かった。
189 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:36:23.82 0
以上で第3話終了です
次がラストになるかなぁ…
早ければ今夜投下します
190 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:39:53.42 0
アホとアホが合体したのですね
色々とどうなる事やら
191 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 18:40:49.42 0
やべええええ
目にうっすら何かが膜を張っている
イイヨイイヨー
192 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 19:01:21.12 0
正統派さんすごいお
193 :
1
:2012/01/05(木) 19:04:01.53 0
トラックに撥ねられそうになったカメをナマタが体当たりして
その衝撃で戻るっていう 元通りになるアイデアのひとつとして書いたんだが
その後オマケで書いたアルと入れ替わる方を本当にストーリーにしちゃうとは・・
どうなっちゃうのコレ?
194 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 19:06:36.52 0
>>1
すごいよ
>>1
それを実際形にできるのもすごいな
195 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 19:16:55.27 0
変態はいずこへ
196 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 20:07:32.75 O
てす
197 :
名無し募集中。。。
忍法帖【Lv=40,xxxPT】
:2012/01/05(木) 20:09:03.68 O
なんか変
198 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 20:11:15.90 0
>>189
乙乙
仕事も早いし素晴らしいですな
199 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 21:07:45.94 0
アル編
>>123-128
,
>>145-154
,
>>184-188
つづきです
生命維持装置に繋がれた「亀井絵里」を見つめながら、絵里はふうと息を吐く。
先ほど病室の前を通った看護師には、今夜はもう面会時間を過ぎたから帰ってほしいと暗に言われた。
ケータイで時刻を確認すると、もう20時を過ぎていたので、それは当然といえば当然であった。
恐らく、先ほどまで此処に居た絵里の両親も里沙もさゆみも、その言葉に従い、帰ったのだろう。
だが、絵里はどうしてもその場から動けずに、眠る絵里を見つめた。
ガラスに手をつけて、「アル…」と呼ぶ。
仮説が正しければ、いまあそこにいるのは飼い犬のアルだった。
絵里の腕に抱かれているアルは、アルではなく、衣梨奈であるのだから、この仮説は恐らく真実になる。
だが、それが立証されたところで解決策はない。
解決策がないために、今日の今日まで、亀井絵里は生田衣梨奈として、生田衣梨奈は亀井絵里として生きていた。
どうすれば良いのかも分からない。
解決策も、手立ても、手がかりさえもない。
入れ替わったメカニズムも、肉体に強い衝撃を受けたことで魂が飛び出た、という以外の説明がつかない。
しかもこのメカニズムは、「恐らく」という前置詞のついただけの、ただの仮説にすぎなかった。
絵里が黙って自らの肉体を見つめていると、腕の中の衣梨奈が寂しく鳴いた。
その声に我に返った絵里は、精一杯の笑顔を見せ、「屋上、行こうか」と囁いた。
このまま此処に居るのは得策とは思えなかった。見回りの看護師に犬を連れている姿を見つけられては、それこそ追い出される。
手立てがない以上、帰ることも策のひとつだったが、どうしても絵里は、病院から離れたくなかった。
絵里はゆっくりと夕刻を過ごした屋上への階段を上がった。
200 :
名無し募集中。。。
:2012/01/05(木) 21:08:37.92 0
病院の屋上から見る夜空は、妙に綺麗だった。
街の明かりが煌々としているにもかかわらず、星が点在している夜空は、そのまま絵里と衣梨奈の未来のようで切なくもある。
周囲は明るいのに、そのせいで、星は見えにくい。
都会の空にある星は、気付いてもらえない絵里と衣梨奈のようで、無性に哀しくなる。
絵里は「はあ」と息を吐いて目を閉じた。冷たい夜風が前髪を遊んだ。
腕の中の衣梨奈は心配そうに見つめるが、もう、笑うことは出来そうにもなかった。
「ねぇ、えりぽん…」
絵里はぽつりと話し始めた。衣梨奈はきょとんとしながらも腕の中から絵里を見つめる。
真っ直ぐな瞳に見つめられるが、絵里はその瞳を交わすことなく言葉を紡ぐ。
「いまなら、返せるかな?」
絵里はそうしてふっと立ち上がり、上って来た階段をじっと見つめる。
此処から転がり落ちれば、少なくとも衣梨奈の肉体を返すことはできそうだった。
確証はないが、このまま此処で燻っているよりも、いっそ飛んでみた方が良いのではないだろうか。
ずっと考えていた。
入れ替わった理由、原因。
それは、やはり自分にあるのではないか。
あの日、絵里が気まぐれで事務所へ行かなければ、こんなことにはならなかった。
衣梨奈がモーニング娘。として活動することが叶わず、挙句にアルの肉体に入ってしまうこともなかった。
絵里はモーニング娘。で活動し、たくさんの仲間に囲まれて充実しているというのに。
かみさまの機嫌を損ねるようなことをした覚えはないが、それでもこのままで良いなんてことはない。
いまなら、返せる。此処から落ちれば、きっと、と、絵里には直感があった。
317KB
掲示板に戻る
全部
前100
次100
最新50
0ch BBS 2005-12-31