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最新50
もしあいぼんがまろやかなロマネコンティだったら
1 :
名無し募集中。。。
:04/08/17 08:32
田崎信也にご用心♥
555 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 16:01
「・・・ワイン、割れちゃった」
何か言われる前にとりあえず父を諌めようと割れたビンを差し出した瞬間、
私はぎゅっと抱きしめられた。
「よかった・・・・無事だったのか・・・」
何がなんだかわからずに私は父に抱きしめられている。
「よかった・・・ほんまよかったなぁ」
父の大阪弁を聞くのは小さい頃に父の実家に帰ったとき以来だ。
それまですっかり忘れていたのだが私たちは地震の後も父に連絡をとっていなかった。
回線が混雑してなかなか電話がつながらないのに痺れを切らせた父は
3駅先の出先から走ってきたのだという。
「お父さん、『あいぼん』割れちゃったよ」
抱きしめられたまま私は言った。
「そんなん、また買うたらええ。」
そういってもっとぎゅっと強く抱きしめられた。
下に広がるあいぼんの甘い香りに代わって走ってきたお父さんの汗の匂いがした。
556 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 17:20
。・゚・(ノД`)・゚・。
557 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 17:29
あいぼんは確かに大切だけど
あいぼんのために命を落とすような事を
あいぼんは喜ばないだろう
558 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 18:29
キープ
559 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 20:15
熟成中
560 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 20:39
キープ
561 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 21:43
キープ
562 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 21:53
キープ以外に書けんのか?
563 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 21:58
ナープ
564 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 22:03
この味がわかるには、まだ時間がかかる人もいる。あのときの俺もそうだった。
やさしく、やわらかで、ゆったりとした時間の流れ。
ふとしたときに味わうこのまろやかな味わい。ちょっとだけ飲んで、そして、キープ。
565 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 22:52
>>552-555
を読み終えて
>>557
を見たらなぜか涙がこぼれたよ。
心に赤い影を作るあいぼんを眺め、そして、キープ。
566 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:08
俺はさっきから真っ暗な部屋のソファーに腰掛けている。
若い夫婦向けのファミリーマンションのリビング。
そう広くはないが夫婦二人には十分な広さだ。
玄関でガチャガチャという音が聞こえてビニール袋を抱えて仕事帰りの妻が帰ってきた。
「おかえり」
俺は妻に言う。
妻は黙ったまま部屋へ入ると壁のスイッチを手探りし明かりをつけた。
「・・・ただいまぁ」
キッチンのテーブルに荷物を置くと妻は独り言のように呟き
買ったものを手早く冷蔵庫へしまいこんだ。
「はぁ」
ため息をついて首を回しながらソファーの方へやってきてリモコンでテレビをつけた。
「お疲れ」
俺は彼女を労う。
だけど黙ったままの彼女はテレビのチャンネルを変えながら俺の隣へどさっと腰を下ろした。
俺は肩がぶつからないようにすばやく体をずらし注意深く座りなおした。
「おまえ、まだコイツらが好きなのか」
付き合っていた頃大ファンだといっていたお笑いコンビをアゴで指す。
だけど彼女はつまらなそうにそれを眺めているだけだ。
567 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:09
TVの中では二人が笑いながらお互いをけなしている。
編集で足してあるのかやけに大きな笑い声が客席から聞こえる。
だが妻はクスリとも笑わない。
なにか別の考え事でもしているのか視線はむなしくTV画面を素通りしていた。
「疲れたのか?」
俺の問いかけに彼女は答えず大きく伸びをするともう一度大きなため息をついた。
「今日はもう寝ろよ」
そういった俺の方をちらり、と妻が見た瞬間、けたたましくケータイが鳴った。
「・・・もしもし?」
着信相手を見て少し億劫そうに妻が電話に出る。
俺は気にしないフリをしながら耳をそばだてる。
かけてきた相手はわかっている。彼女の同僚のナンパ男だ。
人妻と分かっていながら妻の誕生日に指輪を贈るような
―――もっともその指輪はゴミ箱直行だった
面の皮の厚いいけ好かない男だ。
568 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:09
「・・・ごめんなさい、今日はちょっと・・・ええ、ええ・・・」
隣にいる俺を気にすることなく彼女は話し続ける。
どうやら今から出て来れないか、と誘われているようだ。
「さっさと切っちまえ、そんなやつ」
俺は憮然と呟いた後に髪に手をやってかぶりをふった。
俺にそんなことを言う資格はもうないのだ。
彼女が何をしようと俺が口を出すべきではないのだ。
「いえ、本当に今日は・・・大事な用があるの」
彼女には俺の知らない大事な用があるらしい。
惨めにも断りの言い訳にすら嫉妬している自分を情けないと思った。
「・・・はぁ」
何とか断った彼女はついでにケータイの電源まで切ってしまった。
そして振り返りじっと俺の方を見た。
・・・いや、俺の後ろのもっと遠いところへ視線をさ迷わせてそれからどっこいしょ、
というカンジで立ち上がった。
569 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:10
ドサッと音がして続いてゴン、と彼女が取り出そうとしていたワインボトルが
幸いにも下にあった足ふきマットの上に落下する鈍い音がした。
「・・・いったぁ〜」
俺の体をすり抜けて彼女は地上に落下し、打ちつけた腰を摩っている。
俺は彼女が自分の半透明な体の中を通過していく様をまじまじと見て、
頭を抱えてへたり込みたくなった。
俺は彼女に触れられない。それどころか彼女には俺の声も聞こえない、姿も見えない。
――――だって俺は死んでいるから。
俺は死んで、こんな体になって、もう一年もこうして一緒に住んでいる。
嘆き悲しんでいる妻に何の言葉もかけることもできず
やがて正気を取り戻し、日常生活に復帰し、
俺のことを少しずつ忘れていく過程をまざまざと見つめながら。
俺はまだ彼女を愛している。だから忘れられたくない。
だけど彼女の中では俺は過去の人になりつつある。
やがて俺はいつか辛いけれどよい思い出の人になるだろう。
そして、彼女は新しい恋を知り、別の誰かともう一度家庭を築こうと思うかもしれない。
俺はまだこうして存在しているのに。
570 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:11
妻が取り出そうとしたワインボトルはお義父さんが
「まだ若いから結婚10周年のときにでも呑みなさいと」くれた『あいぼん』だった。
「10年目の記念日に二人で一緒に明けようね」それが、俺たちの間での約束だった。
俺は恐怖した。
妻は、このボトルを一人で開けてしまうかもしれない。
そして一人で飲んで俺のことを、俺と二人でいたことを忘れてしまうつもりかもしれない。
俺はここにいるのに。すぐ隣に、こうして立っているのに。
「・・・・ばっかみたい」
転がったあいぼんを拾うと妻は誰にともなく呟いた。あいぼんのラベルを指でなぞりながら。
「一人でなんて・・・呑めるわけないじゃない。お父さんのバカ!」
そういうと彼女はその場に泣き崩れた。
彼女の父は嘆き悲しむ娘を心配し、このマンションを引き払うようにいってた。
俺との思い出の品から遠ざけて彼女を守りたいと思っていたのだ。
俺の想いとは別に彼もまた彼女を愛していたから。
だけどのたびに彼女は反発し、一人で泣いた。
もう、何百回と見てきた光景だ。
だけどそのうちの一度として俺は彼女の涙を拭えた例はなかったし、
俺の慰めの声が届いたこともなかった。
嗚咽する彼女を見下ろしながら、もう動いていない心臓がズキリと痛むのを感じた。
571 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:11
俺は彼女に触れない。
伸ばした手が透けてしまうのが怖いから。
俺は彼女を抱きしめない。
体温を感じられないことを確認するのは辛いから。
俺は彼女を見ていたくない。
彼女が泣きじゃくっているのは俺のせいだから。
俺は静かにソファーに腰掛ける。
結局、彼女が泣き止んだのは真夜中を過ぎてからだった。
真っ赤に目を腫らした彼女は立ち上がると冷蔵庫へ向った。
缶ビールを1本と、小さな白い箱を取り出した。
それに『あいぼん』を持つと俺の方へ、正確には俺の後ろにある仏壇の方へ向った。
「・・・誕生日おめでとう」
遺影の前にケーキと『あいぼん』を供えると、自分の缶ビールをカツン、とあいぼんに当てた。
俺はやっと今日が自分の誕生日だったことを思い出した。
彼女は遺影に写る僕の頬を優しく指でなぞると最後にデコピンした。
「『あいぼん』は二人で飲むんだから。私が独りで飲んじゃわないように見張っててよ」
572 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:12
彼女はリビングに戻ってくるとソファーに腰掛けた。
俺はぎりぎり肩がくっつかないように気をつけて隣に座りなおした。
彼女は缶ビールを飲む。
時々俺(正確には俺の遺影だが)の方を振り返り何度も乾杯の仕草をしながら。
そうして、微笑んで何度も言うのだ「おめでとう」と。
「バカじゃねぇの、俺死んでんだぞ」
彼女には聴こえない悪態で嬉しさをごまかした。
そうしなければきっと後が辛いことを学んでしまったから。
573 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:13
いつしか彼女は寝息を立てて眠っていた。
俺は手が透けない程度に彼女の頬に触る。
もう感じることのできない温もりは思い出で補った。
俺はそっと彼女の頬に口づけする。
そんなはずはないのに彼女はくすぐったそうに頬を掻いた。
俺は彼女の寝顔を見つめる。
この幸福そうな寝顔は俺への想いが浮かべさせているはずだから。
「愛してるよ」
彼女には聴こえない声でそっと囁く。
「愛してるから、ずっと」
遺影に添えられたあいぼんが空けられるのは予定では7年後。
それまで俺は彼女の側にいられるのか。彼女は飲まずにいてくれるのか。
それは誰にも分からない。
あいぼんにだって分かるわけがないのだ。
574 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:16
>>569
の前に
妻は台所へ行き、テーブルチェアーを引っ張り出した。
俺は何をするつもりだと思いながらキッチンの入り口まで歩いていった。
妻は椅子を一番高い棚の下に持って行きそれに乗った。
どうやら戸棚にあるワインクーラーからアレを取り出すつもりらしい。
「おい、気をつけろよ。その椅子安定悪いぞ」
デザイナーズだかなんだか知らないが安定の良くない椅子に
ふらふらと苦労しながら戸棚に手を伸ばしている妻に言う。
こんなときでも彼女は俺に頼らない。いや、頼れない。
小柄な妻は精一杯背伸びをしてそれを取り出した。が、その瞬間
「きゃっ・・・」
「危ないっ!!」
案の定彼女はバランスを崩し、俺はとっさに彼女の下に回りこみ体を支えようと手を伸ばした。
こうなることは分かっていたはずなのに俺はやっぱり胸が張り裂けるほどの絶望を感じた。
575 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:24
いいあいぼんでしたよ。ええ、本当にいいあいぼんでした。
576 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:44
・゚・(ノД`)・゚・。
577 :
名無し募集中。。。
:04/09/06 23:55
マスター
今夜も上物のあいぼんをありがとう
578 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 00:13
沁みるねぇ
579 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 01:37
心に響く味がある 「あいぼん」
580 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 02:42
いいね
581 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 03:00
キープ
582 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 05:17
熟成中
583 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 06:36
まろやかあいぼん
584 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 07:56
キープ
585 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 09:17
キープ
586 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 11:05
キープ
587 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 12:37
俺も…あいぼんが似合う大人になりたいな…
588 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 14:00
>>587
大丈夫。
家族のために働くお父さんも幼い孫を連れてるお爺さんも
あいぼんの前じゃ恋を覚えたばかりの少年になるのさ…。
589 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 16:40
キープ
590 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 17:35
マローン
591 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 19:04
キープ
592 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 20:03
キープ
593 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 21:01
ゆるやかに熟成中
594 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 22:11
キープ
595 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 22:55
加護ヲタの駄スレ晒しage
596 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 23:22
加護ヲタの駄スレ晒しage
597 :
名無し募集中。。。
:04/09/07 23:37
キープ
598 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 00:59
キープ
599 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 01:11
もあまロ.txt
600 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 02:24
600
601 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 04:20
keep
602 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 07:41
危ないキープ
603 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 09:05
キープ
604 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 11:16
キープ
605 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 13:22
まろやかあ〜
606 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 15:28
あいぼん
607 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 17:01
キープ
608 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 18:46
キープ
609 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 19:39
キープ
610 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 20:40
熟成中
611 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 22:05
まろやかあ〜
612 :
名無し募集中。。。
:04/09/08 23:07
キープ
613 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 00:17
まろやかにキープ
614 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 01:39
キープ
615 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 02:34
あいぼんを飲んで寝るよ
616 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 05:32
キープ
617 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 07:27
キープ
618 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 09:07
619 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 10:53
まろやかあいぼん
620 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 12:38
キープ
621 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 14:33
キープ
622 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 16:16
keep
623 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 17:33
きーぷ
624 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 19:31
キープ
625 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 20:38
あいぼん買ってこようかな…
626 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 21:45
熟成中
627 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 22:22
キープ
628 :
名無し募集中。。。
:04/09/09 23:45
熟成中
629 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 00:07
リズムキープシンドローム
630 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 01:07
心に赤い影を落とす至福の一滴
あいぼん
631 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 01:59
キープ
632 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 02:29
まろやかあ〜
633 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 03:32
キープ
634 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 06:35
キープ
635 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 07:42
キープ
636 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 10:04
あいぼんキープ
637 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 11:38
今夜約束のあいぼんもっていきます
638 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 12:32
キープ
639 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 13:41
キープ
640 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 15:21
キープ
641 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 16:17:19
はんぶんこした愛のかけらを今でもまだ持ってますか
642 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 17:02:15
どこかで同じ空気を吸って
どこかで同じ事を考えて
どこかにつながる道を歩き
どこかで同じ月を見る
643 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 18:55:58
キープ
644 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 19:08:47
どこかで失くしたアイツのあいぼん
645 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 20:52:31
キープ
646 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 21:21:01
「・・・これが今週届いた分です。で、こちらはまぁお礼というか前に掲載されたものの返事ですね。
返信するかどうかはいつも通り先生に一任いたしますので。
はい。じゃぁ原稿の方は来週までに。失礼します」
いつもせかせかと忙しい編集者は額の汗を拭いながら手紙の束を置くと麦茶を飲み干すなり帰ってしまった。
まぁあまり居座られて色々口出しされるのも僕の望むところではないが。
「ふぅ。・・・どれどれ?」
僕はとりあえず返事だという手紙の束を引き寄せた。
仕事を片付ける前に前の仕事に対する反応を見て
鋭気を養わなければならない。
僕は今地方の小さな新聞の子供相談の連載を抱えている。
一応は教員免許を持ち、数年ばかり教壇に立っていたが
新聞社に勤めた友人からの依頼でなんとなく引き受けたのがずるずると続いて
いつの間にか子供相談の仕事や公演などが僕の生業になっていた。
僕のような凡庸でいい加減な者に相談を持ちかけるほど困っている人が多いと見えて
毎日のように届く手紙の多さに少し怖くなるくらいである。
「えーと、何々・・・『この前はご相談にのっていただき・・・」
それは、子連れで再婚したはいいが
最初は新しい夫に懐いていた子供が弟の誕生とともに元気がなくなった
という旨の悩みを相談してきたご婦人からの返事だった。
647 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 21:22:18
この前は相談に乗っていただきありがとうございました。
先生の暖かい助言によって本当に家族の絆が深まったことを感謝し、
また報告もかねて筆を取りました。
前の手紙にも書いたとおり小学2年になる娘が
私と新しい夫の間に弟が生まれてからどうも元気がなくなり困っていたのですが、
やはり先生が新聞で書かれていた通り
「新しいお父さんに懐き本当の家族のように過ごしていたところに弟が生まれ、
疎外感と寂しさを感じていた」ようです。
結婚以前から今の夫とは本当の家族のように接していて
結婚してからも前から一緒に暮らしていたように懐いていた娘ですが、
やはり弟ができたことでなにかプレッシャーのようなものを感じていたのかもしれません。
学校でも何か言われたようですがそれは結局話してくれませんでした。
前は甘えん坊でも言いつけを守り素直な活発な子だったのですが、
弟が生まれて一月くらいから私にべったりくっついて弟や夫とは距離を置くようになり、
独りにしておくと急に泣き出したり怒り出したりで
私たちはどうしていいのかまったく分かりませんでした。
前の手紙には書きませんでしたが私と夫が夜お酒を飲んでいるときに
娘が起きてきて「私にも飲ませて」と言ってきたことがありました。
当然私たちは「これは大人の飲み物だから」とつれなく断りました。
これがどうも娘にとっては自分だけが疎外されたと思った原因のようです。
また、下の子が少しアトピー気味で私たちが過保護にしていたのも
彼女の目には弟ばかりを大事にしているように見えたのだと思います。
648 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 21:23:36
ある日下の子の検診で夕方遅くに帰ったことがあります。
娘には予め遅くなるかも、といっておいたのですが
病院が込み合い予想以上に遅れて帰宅したのです。
するとどうでしょう、居間や子供部屋は散らかしっぱなしで
キッチンに入るとよく主人と飲むあいぼん(ご存知だと思いますがワインです)が
下で割れていました。
私はぎょっとなって娘を探しました。
すると娘はテーブルの下で丸くなって泣いていました。
私は怒りたいのをぐっと堪え娘に「どうしてこんなことしたの?」と尋ねました。
けれど娘は頑固なまでに丸くなったまま答えません。
夕飯になって主人が帰宅しても頑ななまでにソコを動かず、何も言わず、
結局私たちが食事を終えてもテーブルの下から出てきませんでした。
主人も気を使ってあれこれ話しかけていましたが結局諦めて寝てしまいました。
その日から娘は前にも増して元気がなくなりそれで、先生にご相談したというわけです。
「ふぅんなるほどねぇ」
ここまで読んで僕は事の重大さを深刻さをようやく理解した。
そして僕の考察があながち間違っていなかったことをほっとしながら、
またもし見当違いの回答をしていたら、とヒヤリとしながら手紙を読み進めた。
子供は大人が思っている以上に物を考えている。
ただザンネンなことに大人になったとき子供の頃自分がどう考えいたのかを忘れてしまうのだ。
大人になるにつれ身につける「子供はこう」という既成概念によって。
649 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 21:25:00
私の相談に対する先生の答えは
「家族が全員で楽しめることを見つけて『あなたも家族なのよ』と
実感できる体験をさせてあげてはどうでしょうか」といものでした。
そこで私たちは家族で遊園地に行ったり、買い物にいったり、
日帰りで旅行に行ったりして娘と一緒に過ごす時間を増やしました。
ところが、いつまでたっても、何をやっても娘は心を開いてくれません。
遊園地などでは楽しそうにはしゃぐのですが帰ってくると元気がなくなるのです。
ある日また娘があいぼんのビンを割りました。
そしてそれを見ていた夫が少しキツイ調子で叱ったところ部屋へ閉じこもってしまったのです。
私が一晩中そばについていたら、ようやく娘が布団の中から顔を出しました。
そしてこう言うのです。
「なんで私ばっかりあいぼんのめないの?」
お父さんもお母さんも弟も飲んでいるのに、と。
どうやら下の子が飲んでいるアトピー用のシロップ薬をあいぼんだと勘違いしているようでした。
「『ち』がつながってないから?だからわたしはあいぼんのんだらだめなの?」
と、泣きながら彼女は聞いてきました。
「前のお父さんの子だから今のお父さんとはあいぼん飲めないの?」
それでやっとわたしは理解したのです。
650 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 21:26:07
娘にとって家族であると実感させてくれるのはみんなであいぼんを飲むという行為なのです。
私と夫だけが(娘は弟も入っていると思っているようですが)あいぼんを飲んでいるのに
自分は飲ませてもらえないのは自分だけが血が繋がってないからだと思っていたようです。
それが寂しくて悲しくて元気がなくなり、原因であるあいぼんを2度も割ったのです。
そんなつもりはまったくないのに
私たちは二人であいぼんを飲むたびに彼女の小さな心を傷つけ、
悲しい思いをさせていたのでした。
「いい子にしてたらお父さんと「血」つながる?あいぼん飲める?」
という娘を泣きながら抱きしめました。
どんなに明るく懐いているように見えても彼女は彼女なりに考え、
気を使っていたのです。
651 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 21:29:01
ようやく彼女の元気の無い理由が分かり
私は早速その解決策を練りだしました。
直接あいぼんを飲ませてもよかったのかもしれませんがさすがにそれはためらわれたので
あいぼんを使ってワインゼリーを作りました。もちろん娘も一緒です。
出来上がってキレイに固まったあいぼんを見て娘が言いました。
「見ててお母さんあいぼんゼリーの親子だよ」
そういうと生クリームでゼリーの上に笑っている顔を書きました。
「ほら、皆仲いいんだよ。でもね、うちよりは仲悪いの」
どうして?聞くと娘は嬉しそうに答えました。
「だってわたしたちが皆でコレ食べちゃうから、そしたらうちらの方が仲よくなっちゃうから!」
そういって嬉しそうに笑いました。本当に心からの笑顔でした。
初めて作ったあいぼんゼリーは上出来のできでした。
家族の絆もぐっと深まり
それ以来あいぼんゼリーは我が家の定番おやつとして定着し、
家計のやりくりをちょっと難しくしています(笑)
手紙はその後明るくなった娘さんの様子と僕への感謝の気持ちがしたためられていた。
僕は嬉しい気持ちで心を満たされながら手紙の束をカバンにしまうと部屋の時計を見た。
少し早いが今日はこれで店じまいにしよう。
残っている手紙はの処理はまた明日。今日の予定はもう決まっている。
お中元でもらったあいぼんを肴にもう一度この手紙に漂う幸福感に酔のだ。
僕は少しニヤつきながら夕暮れの街へ踏み出した。
652 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 22:00:37
マスター
今日のあいぼんは何か胸に染みるね(*´д`*)
653 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 22:03:13
新作キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
654 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 23:14:01
キープ
655 :
名無し募集中。。。
:04/09/10 23:17:59
引き込まれてしまった
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0ch BBS 2005-12-31