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ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘) Part2
575 :
名無し募集中。。。
:2012/01/16(月) 23:16:56.91 0
きっかけは、衣梨奈の一言だった。
「亀井さんて、田中さんと付き合ってるんですか?」
急に聞かれた言葉に絵里は飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。
そんな漫画的な展開は許されないと慌てて口元を押さえる。
「な、な、ななな、なんで、急に、そんなこと?」
絵里はティッシュで口許を拭いながらそう聞くと、衣梨奈は「うーん」と考えながらココアを飲む。
突拍子もない質問をしておきながらなぜ冷静にココアを飲むのだろうと絵里は疑問に思うが、彼女は意に介さず続けた。
「時々メールとかするんですよ田中さんと。そしたらなんか、すごい優しいなって気がして」
「…はあ……」
「だから付き合ってるのかなって」
絵里は衣梨奈の質問に頭を抱えた。
どうして彼女は、絵里とれいなが付き合っているという解に辿り着いたのだろう?
手を繋いでいるのを見たとか、キスしているのを見たとかではなく、れいなのメールがなんとなく優しいからという理由のみで。
絵里はどう答えたものかと暫し悩んだ。
576 :
名無し募集中。。。
:2012/01/16(月) 23:17:36.52 0
「さゆもそうなんだけど、絵里にとって、とても大切な人なの」
「田中さんですか?」
「うん。同期って一緒にいる時間も長いし、悩んでることとか、全部分かってくれるし」
絵里がお茶で喉を潤すと、衣梨奈は「やっぱり付き合ってるんですね」と返す。
彼女の返事に絵里は盛大にお茶を噴く。慌ててティッシュで飛び散った水滴を拭うと、衣梨奈は楽しそうに笑った。
あーあ、もう誤魔化せないかと絵里は観念し、「付き合ってるっていうかね」と話す。
「ふたりで一緒にいることは多いかな。なんかそういう言葉で言うのは、違う気がしちゃうけど」
絵里の言葉に衣梨奈はきょとんとする。
真意を噛み砕こうとしているのが伝わるが、ちゃんとその解に辿り着くことはなく、ココアを飲んだ。
絵里はふっと笑い、続ける。
「ちゃんと告白して、じゃあ付き合いましょうって言った訳じゃないから。
ただ、お互いに必要なんだろうなって思って、一緒の時間を共有してる感じかな」
実際、絵里とれいなは告白はしていない。
メンバーだからとか、同性だからとか、そういう理由もあったのかもしれないが、互いにその一歩は踏み出さなかった。
だが、ふたりはなんとなく、互いの存在を必要とした。
同じ時間を過ごして、同じ目線で同じ景色を見ること。
それが世間的には「付き合う」ということなのかもしれないが、明確にふたりはそれを「付き合う」と表したことはない。
確かに、手を繋いで時にキスを交わすこともあるが、それは言わないでおこうと絵里はお茶を飲み干した。
577 :
名無し募集中。。。
:2012/01/16(月) 23:18:25.50 0
「えりぽんにも、そういう人、できるのかもしれないね」
「同期で、ですか?」
「うーん、それは分かんないけど……」
絵里の質問に衣梨奈は「うーん」と天井を見つめた。
その視線の先には、だれが立っているのだろう。同期で仲の良い譜久村聖か、果ては信頼されるリーダーの新垣里沙か。
衣梨奈は「あ」と思い出したように呟いて視線を絵里に戻した。
絵里が「うん?」と優しく返すと、衣梨奈は困ったように声を細めて言った。
「あの……」
「うん」
「…明日とか、事務所行ったらダメですか?」
再び出てきた突拍子もない言葉に絵里は一瞬眉を上げる。
だが、理由を問うことはしなかった。
その言葉の真意、彼女の心の声は、なんとなく絵里も分かっていた。
入れ替わってからというもの、衣梨奈は亀井絵里として過ごし、メンバーにはほとんど会っていない。
メールや電話のやり取りを交わすことはあっても、それが余計に寂しくさせることも、絵里には分かっていた。
「いーんじゃん。明日、レッスン終わりとかに来なよ」
絵里はどうするかと悩むこともなく、ニコッと笑う。
その言葉に衣梨奈はぱあっと明るくなり、「良いんですか?」と返した。
サンタからプレゼントをもらい、母親に自慢しに行く子どものように、衣梨奈は目を輝かせる。
578 :
名無し募集中。。。
:2012/01/16(月) 23:19:05.08 0
不安も、心配も、ないわけではない。いまの状態でメンバーに会うことに。
だが、自分ばかり会って、衣梨奈に会わせないというのはあまりにも酷だった。
衣梨奈は衣梨奈なりに自分の置かれた状況を把握し、ひとり、打開策を探っている。
メンバーに会って、同期と話して、少し息抜きをしたところでかみさまの機嫌は損なわれないだろう。
もしも、本当に入れ替わりを行ったのが「かみさま」だとしたら、の話であるが。
「明日、6時には終わると思うから、そのくらいに顔出しなよ」
「はい!楽しみにしてます!」
衣梨奈はそうして笑顔で返した。
この笑顔をもう、曇らせたくはないなと絵里はぼんやり思う。
明日、少しメンバーと話すだけだ。それ以外になんの問題もないはずだと、一瞬だけ掠めた不安をかき消すように、絵里はそう言い聞かせた。
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