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もしも佐藤まーちゃんがスナックのママだったら

22 :名無し募集中。。。:2013/11/04(月) 21:45:58.46 O
俺はさすがに言葉を失って、しばらく考え込むふりをしていた。
なぜそんなことになるまでぼんやりしていたのか、先のことを考えておくべきじゃなかったのか。
そう思ったところで何もはじまらない。
逆に、いかにも優樹らしくて、その無邪気さに魅かれないこともない。
「そういわれても、心当たりなんてすぐには思い浮かばないよ」
「20万くらい、どぶに捨ててもいいってお金持ち、いないかなあ――」
「いやいや、こういう話は当人同士直接会ってその気になるもんだから」
「まさ、お酒飲まないから、そういう場に出ていく機会がないんだもん」
「――心がけてみるけどね、一応」

優樹がチラリと視線をそらしながらつぶやいた。
「あなたが旦那になってくれれば最高なのにな――」
「…俺はとても、そんな余裕はないよ」
「親分亡くなったときね、そんな夢を見たことあったの」
「そりゃ悪かったな。俺が甲斐性がなくて」
優樹は切羽詰まった状態には見えなかった。
もともとおっとりしていて、気持ちまで貧しくなっていないのが救いだった。

だが今度の依頼は前のより難しい。
女の斡旋話をそこいらで切り出すわけにもいかないし、公募している男もいない。
細君に先立たれて不自由している男の話は耳にしないでもなかったが、
家風が堅かったり、家族が多かったり、優樹には手に余ると思えるものばかりだった。
いやはや、義理があるわけじゃなし、できないことはできない。

何度もそう思うのだが、ときおり遠慮気味に優樹から電話があると、
突き放すようなこともいえなくて、ついつい、探してはいるんだけど、くらいのことをいってしまう。
どこまでもお人好しな俺であった。



おわり

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0ch BBS 2005-12-31