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週刊ウルフ創刊号
349 :
読み切り
◆GfCzY7k762
:2008/01/15(火) 21:57:35.67 0
『日本総ラジオ体操化計画』
拝金主義。経済大国。格差社会。超高齢化社会。若者の無気力化。メタボリック。……。
日本の抱える問題は他にも様々あるが、政府はこれらの問題を一挙に解決すべくとあるプロジェクトを立ち上げた。
"日本総ラジオ体操化計画"である。
生活環境を考慮した上で一人一日一回、必ずラジオ体操をしようというものだった。
健康はもちろん、毎日行うことで習慣というものを体から覚えさせ、日本全体が同じことをすることで愛国心を強くするだろうという狙いもあった。
また日本国民のほとんどが知っている体操なので改めて覚え直す必要がなく、万人に受け入れられるであろうという点もある。すばやく法律化して全国にラジオ体操の義務化を言い渡した。
そして、政府は秘密裏にとある装置を開発していた。それが『自動ラジオ体操機』である。
藁人形のような形をした鉄骨のこの装置を人の背後から取り付けると、本人の意思に関係なくラジオ体操をこなしてしまうというものだった。
しかもこの装置にはセンサーがついていて、人間が装着することでセンサーが作動し、体操終了時に電波を発信して基地局に体操を行ったことを知らせる機能がついていた。
自動体操機能を使おうと使うまいとこの装置は装着しなければ基地局にカウントされず、サボれば罰則、ひどいければ懲役刑になることもある。
これにより計画は順調に進み、日本人の健康は守られたかのように思えた。
紺野博士。天才的科学者でありまた天才的発明家である彼女のある発明により、この計画は崩されることになる。
彼女はセンサーも感知する特殊な人型の人形を作り、大半の国民がめんどくさいと感じていた計画を見事に潰したのだった。
法令化の際にこの抜け道に対する対策項は設けておらず、またそう簡単に改正できないようにしてしまったため紺野博士を逮捕できない状況にいた。
しかし、政府も黙ってはいない。密やかにそのような人形が出回っていると知った政府はセンサーをより高感度にし、また別の認識システムを装置に導入したのだ。
これが紺野博士の研究欲発明欲に火をつけることとなった。こうして政府対紺野博士(大半の日本国民)のイタチごっこは始まった。
血圧感知システム。脈拍感知システム。体温感知システム。脳波感知システム。血流感知システム。皮膚電気反応感知システム。
呼吸感知システム。指紋認証システム。静脈認証システム。虹彩認証システム。音声認識システム。…………。
政府は日本最高峰の技術を結集して新たな装置を作れば、天才的頭脳をフル稼働させてそれを突破する紺野博士。
両者の争いは連日マスコミを賑わせ、日本はおろか世界中が注目していた。
そんな中極秘扱いとなっていた紺野博士への取材を許可されたテレビ局は早速研究所へ行き、博士にインタビューを行った。
「日々の研究で体調を崩されたりなさいませんか?」
「研究室に缶詰の日々でやや運動不足ですが、ラジオ体操のおかげで健康にやってます」 -オワリ-
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