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週刊ウルフ創刊号

301 :読み切り ◆GfCzY7k762 :2008/01/14(月) 22:18:07.75 0
 『箱』

メンバー間で流行っているギャグを言いながら楽屋に入ってきたものの、誰もおらず楽屋に寂しくギャグだけが響いている。
不戦敗をものともせず机の上のジュースを飲み、梅田はパイプ椅子に乱暴に腰を下ろした。
楽屋で待機を命じられたが他のメンバーは誰もいない。少し寂しくもあったが、これは悪戯を仕掛けるチャンスと梅田はワクワクしていた。
さて何をしよう。楽屋を見回す梅田は部屋の隅にあるものを見つけた。

それは箱だった。RPGに出てきそうな木で出てきた宝箱。
もっともそのその箱は既に開いていて中身はなく、宝箱というより単なる空き箱だった。
朝来た時はこんなものなかったのに、と梅田は不審に思ったのだが、箱の蓋の裏側に貼られていた紙を見てそんな気持ちはどこかに吹き飛んでしまった。

 "絶対に閉めないでください"

梅田には意味がわからなかった。言葉の意味、ではなく、言葉の真意、がである。
特に何が入っているわけでもないし、密閉性もなさそうだから開閉の前後で何かが変わってしまうこともなさそうだった。スイッチのようなものも見当たらない。
絶対にといういう位大事なものならこんな所に置いておいていいわけがない。
絶対に開けないでくださいならよく聞くけど、絶対に閉めないでくださいとは珍しい。梅田は思った。

絶対に〜〜するなと言われると、余計にしたくなってしまうのは人間の業といったところか。梅田は箱の蓋を閉めたくなった。
誰も見ていないし、閉めてもすぐに開ければわからないだろうし、そもそもこんな所に置く奴が悪い。

閉める前に色々調べてみたかったが箱は回して見られるほど小さくないし、非力な梅田には動かすこともできなかった。
もう閉めてみるしかない。というか、神様が閉めろと言っている。神様に責任転嫁をして梅田は蓋を閉めようと手を箱に伸ばした。

楽屋に入る直前、中島とすれ違ったことを梅田は思い出した。
中島はまじめだからきっと紙に書かれているとおり閉めなかったのだろう。
だったら中島の分まで、と中島にまで責任転嫁して梅田は箱の蓋を閉めた。
蓋の表側には紙が貼られており、こう書かれていた。

 "絶対に開けないでください"

  -オワリ-

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