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ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘)

940 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:29:35.33 0
さゆみが小学生のころは、まだパソコンは珍しかった。
いまでこそ一家に1台、テレビと同じように普及しているが、それはさゆみが中学生になった頃の話だ。
モーニング娘。に加入し、母親と一緒に上京してきてから、さゆみもパソコンを使う機会が増えてきた。
「魔法の箱」とはよく言ったもので、たいていはなんでも分かってしまう。

ときにさゆみは、この「魔法の箱」を使ってブログを更新し、仕事場までの行き方を検索する。
ファンの人が、いまのモーニング娘。をどう思っているのか、彼らのブログを見るときもある。
褒めてくれたり、応援してくれる人は多いのだが、当然、批判や厳しい意見も目にする。
それでもさゆみは、その意見に目を通し、彼らの生の声を聞いて、今後どうすべきかを考える。
それが時に、自らを追い込んでしまうことも、知っている。

「んーっ」

今日もさゆみはパソコンと睨めっこをしていた。
ブログを更新したあと、いつものようにネットサーフィンを始めた。

マネージャーからは、あまりこういうサイトを覗くなとは言われているが、さゆみからすれば、貴重な情報源だった。
コンサート日程や、ディナーショーがあることも、こういうサイトでのファンの書き込みを見て知ったようなものだ。
あまりに危険だと判断したものは見ないようにしているが、ネタのような書き込みもあるので、暇つぶしにさゆみは此処を覗く。
その中でさゆみは気になるページを見つけた。

941 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:30:01.62 0
―――「もしもメンバーがだれかと入れ替わったら?」


・れいながさゆだったら、滑りまくってから元に戻るとか言ってたなw
・同期じゃなく、先輩後輩が入れ替わったらややこしい
・ガキさんと工藤とか?w
・れいなと生田だと博多弁の違和感はねえな
・りほりほとはるなん…ww

しかし、よくこんなネタが思いつくなとさゆみは苦笑しながらページを下げていく。
メンバー同士の入れ替わりなど、非現実的で、だれもがネタだと分かっている。
だが、それでもさゆみが此処から動けないのは、自分の感じた違和感のせいだろうか。

最初の違和感は、一昨日の撮影の朝だった。
さゆみが珍しく早めに楽屋入りすると、既にその場には9期メンバーの生田衣梨奈と鞘師里保が居た。
それ自体は珍しくなく、さゆみは「りほりほは今日も可愛いの〜」とドストライクの里保にカメラを向けた。
その様子に苦笑したリーダー、新垣里沙となにか話したあとのことだった。

「なぁに笑ってんのよ生田ぁ」

里沙は嬉しそうに笑う衣梨奈に対し、自分も笑顔でそう話を振った。
その瞬間、さゆみはあれ?と思った。

―なんでだっけ?

さゆみはこめかみをおさえながら、その違和感の原因を思い出そうとする。
なにか、なにかは分からないが、さゆみはその瞬間に、確かな不自然さを感じたのだ。

942 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:30:28.89 0
次の違和感は、その日の仕事終わりのことだ。
撮影の順番を待つ間、さゆみは楽屋でブログを更新していた。
すると、同じく順番を待っているのか、同期の田中れいなが楽屋に入って来た。

「あ、れいなも撮影待ち?」
「んー、そう。だけん眠いけん、ちょっと休むわ」

そうしてれいなはイヤホンを耳にはめ、楽屋の端の方に移動し、体育座りになった。
イヤホンしながら寝てると、絵里にまた怒られるよと思いながらも、さゆみはブログを更新した。
そんなとき、撮影が終わったのか、衣梨奈が入って来た。

「お、生田終わったー?」

そのとき、さゆみは2度目の違和感を覚えた。
その理由もまだ掴みきれていないが、確かにさゆみの頭の中になにかがよぎった。

「……そんなの分かんないの」

さゆみはグッと伸びをし、部屋の外に出た。
考えが行き詰りすぎてショートを起こしているのか、偏頭痛がする。
さゆみはため息交じりに冷蔵庫を開け、牛乳パックを取り出した。
ホットミルクでも飲めば落ち着くだろうかと、カップに注ぐ。

943 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:30:57.47 0
この違和感は、どうも自分だけが持っているものではないようだということも、さゆみは知っている。
昨日のダンスレッスンのあと、れいなは急に衣梨奈をモツ鍋に誘っていた。
結局は断られていたが、あのとき、れいなの瞳に映っていたのは、本当に生田衣梨奈だったのだろうか。

―絵里も見とぉやろうか?

街がオレンジ色に染まっていくのを見つめながら、れいなはそう呟いた。
あの瞬間、少なくともさゆみとれいなは似たようなこと、もしくは同じことを考えていた。
だが、それはあまりにも非現実的すぎてバカげた夢物語だということも分かっていた。

電子レンジで温まったカップを片手にさゆみは自室へと戻る。
カップの中の牛乳は膜が入っていて、これがどうも苦手なんだけどなと、さゆみは苦笑した。

「あ―――」

そのとき、さゆみはふと思い出した。
最初に衣梨奈に感じた違和感の正体。
頭にずっと引っ掛かり、残っていたこと。
あのとき、「なぁに笑ってんのよ生田ぁ」という里沙に対して、衣梨奈は返事をした。

「うへへぇ、なんでもないです」

あの笑顔。屈託なく笑う、その表情は、1年前に卒業していった親友のそれと酷似していた。

944 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:32:16.41 0
そして2度目の違和感。
撮影が終わった衣梨奈に対して、さゆみが話しかけると、彼女は「あ、はい。終わりました」と返した。
そのとき、衣梨奈は確かに笑顔だった。
明るくて、優しくて、柔らかい中学生の笑顔。
そうであるはずなのに、その笑顔の向こう側に、さゆみは「亀井絵里」を見た。

普段はヘラヘラとふざけていて、ぽけぽけしていて、だけどステージに立つと人を魅了する力を持っていた、絵里の笑顔を見た。

「……あり得ないの、そんなこと」

さゆみはホットミルクを口に含んだ。
表面に張った膜が唇につき、さゆみは手で取る。

非現実的・非論理的・荒唐無稽・机上の空論……あとなにかあるっけ?

とにかくそんなことはあり得ないはずだった。
生田衣梨奈が亀井絵里であるなんて、そんな馬鹿げた話、だれが信じる?

ただ雰囲気が似ているだけだ。
メンバーいちのテキトーでぽけぽけぷぅ亀井絵里。
メンバーいちのKYキャラでアホの生田衣梨奈。

一生懸命さも不器用さも、すべてが似ているだけで、それ以外に理由はない。

945 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:32:51.72 0
「やめよ……」

さすがに疲れているのだろうと、さゆみはふうと天井を見上げた。
これ以上考えていると、明日以降の仕事に支障が出そうだと、さゆみは思考を止めた。
だが、止めようとしているのに、勝手に論理は展開されていく。

確かに、ふたりが最初に出逢ったあの日、ふたりは同時に階段から落ちた。
そのあとのふたりの様子も、いま考えれば不自然なことだらけだ。
突拍子もなく「入れ替わった体(てい)で話してみました」なんて言っていたし…

946 :名無し募集中。。。:2011/12/31(土) 21:33:19.79 0
仮に、生田衣梨奈が亀井絵里であるとしたら、亀井絵里はどうなっているのだ?
やはりそのまま、生田衣梨奈が入り込んでいるのだろうか?

もし入れ替わったとしたら、原因はやはり階段落ちだろうか?
だが、階段から落ちて入れ替わるなど、それこそ漫画的な展開だ。
ずっと前にやった、モーニング娘。のOGである吉澤ひとみが主演のドラマ「俺があいつで、あいつが俺で」を思い出した。
あのドラマは、ふたりの主人公が雷に打たれて中身が入れ替わってしまったという内容だったが、
それこそ非現実的で漫画的であり、元に戻る方法も、再び雷を受けるという、いかにもご都合主義的な話だった。

ただ、残念なことに今回の出来事は現実であるし、恐らくご都合主義は存在しない。
そもそも入れ替わったという確証もなければ、信じてくれる人もいない。
此処にあるのは、ただの、直感だけだった。

さゆみは溜め息をつき、手元にあったケータイでアドレス帳を呼び出した。
出たとこ勝負というのもこの世界では大事だよねと半ば無理やり納得し、メールを作成し始めた。

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0ch BBS 2005-12-31