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ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘)
629 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:03:58.59 0
>>620
つづき
「ば…バカ……すぎ…る…」
意外にも息が切れるのは早かった。
昨日のダンスレッスンで体力がないことは痛感したのに、なぜ急に走り出したのかと、バクバク唸る心臓を押さえる。
絵里はたまたま見つけた公園のベンチに腰を下ろす。
「なにやってんだよぉ…」
深くため息をついて絵里は頭を抱えた。
自分勝手な怒りや不安で、衣梨奈を傷つけたことに違いはなかった。
衣梨奈がこの期に及んで弱気なのはどうかとも思うが、それにしても絵里の怒りは理不尽だった。
彼女の不安ももっともだし、元に戻る方法を考えることも重要なことだった。
結局、いちばん子どもで余裕がなくて弱気なのは、亀井絵里本人なんだと、絵里は自覚した。
「……っ、亀井さん…」
上から降ってきた声に、絵里は思わず顔を上げた。
そこには果たして、自分、外見は絵里である生田衣梨奈がいた。
「…早かったね、追いつくの」
「いや、此処さっきの場所から近いですよ」
衣梨奈の言葉に絵里は苦笑した。
ああこの方向音痴め。どうせ同じ場所をぐるぐる回ってるうちに此処に辿り着いたんだなと自覚した。
なんだかバカバカしくなってきた絵里は「あーあ」と声を上げ、天を仰ぐ。天高くで輝くて太陽が真っ直ぐにこちらを睨んでいた。
630 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:04:34.62 0
「……すみませんでした」
衣梨奈は隣に腰を下ろし、頭を下げた。
「亀井さんのこと、なにも考えてなくて…」
後輩に勝手に怒り、それなのに後輩に謝られ、絵里は惨めというよりも寂しさが湧いてきた。
何処までも余裕がなくて、先輩ぶっていた自分が滑稽で、そして情けなかった。
「絵里こそ…ホントにごめん」
絵里は次の言葉を探していた衣梨奈に対し、頭を下げる。
どう考えたって自分が悪かった。
理不尽な怒りをぶつけて、不安をぶちまけて、自分勝手に言葉を並べた絵里よりも、元に戻る方法を考えようと提案した衣梨奈の方がよっぽど大人だった。
絵里の謝罪に衣梨奈は頭を振って返す。
「…早く、返したかったんです、亀井さんに」
「え?」
「せっかく…その……治りかけてるのに。衣梨奈のせいで…また…」
631 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:05:11.93 0
その言葉に絵里は思い至った。
衣梨奈の言いたいこと。
絵里がモーニング娘。を卒業した理由。それは、絵里自身の体質の問題だった。
体の声に耳を傾け、休養という選択をした絵里。
その結果、ゆっくりではあるが確実に絵里の肌は良くなってきていた。
しかし、衣梨奈が中に入ってしまったことにより、衣梨奈は絵里の体を「使っている」のである。
本来、生田衣梨奈が動く必要のある分だけ、亀井絵里の体を動かし、その分の汗をかき、ストレスを感じている。
それは決して、絵里が感じる必要のないもの全てだった。
だから衣梨奈は、早く絵里に返したかった。
せっかく治りかけている絵里の体を、本来の持ち主である絵里に。
「衣梨奈のせいで…ごめんなさ…」
そこまで言いかけた衣梨奈の肩をぐいと引きよせ、強くポンポンと叩いた。
「ごめんなさいはナシだって、言ったよ?」
「で、でもっ……」
肩を震わせていまにも泣き出しそうな衣梨奈を見て、絵里は苦笑した。
何処までも優しいんだなこの子はと、腕を肩から頭へと上げた。
「今回のは絵里が全面的に悪いし…絵里のが、ごめんなさい、だから…」
632 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:05:33.48 0
後輩に気を遣わせて、なにが「えりぽんには分かんないよ!」と言えたものだと絵里は思う。
そういえば加入してすぐ、前髪を上げる上げないの問題で、れいなとケンカしたことを思い出した。
まああれは、ケンカというよりも子どもだったれいなが「絵里には分からんけん!」なんて言って怒ったって話だけど。
ツラいのは絵里だけじゃない。当たり前だけど。
苦しいのも絵里だけじゃない。当然だけど。
悩んでいるのも、不安なのも、怖いのも、そして戻りたいのも同じ。
ふたりがケンカしちゃ、意味がない。
「絵里のこと、気遣ってくれてありがとう」
一緒に活動した期間なんてなかった。
衣梨奈と話して、まだ数日しか経っていない。
だけど、そんなのどうだって良い。
衣梨奈は絵里のことを考えていてくれているし、そんな衣梨奈のために絵里も返してあげたい。
―ガキさんが可愛がるの、分かるよ
絵里がぐしゃっと髪を撫でると衣梨奈は鼻を啜った。
アハ、泣き虫なのは、絵里と一緒だねと思いながら、ポケットに入っていたハンカチを渡した。
633 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:06:07.32 0
「…ユータイリダツ、ですか」
「まあ仮説だし、それが分かったところでなにもできないけどね」
漸く泣き終えた衣梨奈に、絵里は昨日から考えていたことを話した。
さすがに、入れ替わったのが偶然か必然かという問題は話がややこしくなるのが目に見えていたのでまだ黙っている。
「でも、そういう話って聞いたことあるし、もしかしたらもっと調べれば分かるかもしれませんね」
「絵里もまだネットとか見てないし、今度調べてみるよ」
衣梨奈はそれを聞くと、「じゃあ図書館とか探してみます」と言った。
確かに、家に籠っているよりも、レッスンの息抜きに探してもらえればそれはありがたい。
「任せて、だいじょうぶ?」
「はい。だいじょうぶです!」
そうして笑顔で話す衣梨奈を信じようと絵里は思った。
此処で躊躇する暇はない。とにかく手を打たなくては意味がないのだから。
634 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:06:31.89 0
「じゃあ、とりあえずやってみますか」
衣梨奈はそう言うと手を叩いて立ち上がった。
「なにを?」
「ハンドスプリングですよー」
そう言うと、衣梨奈はひょいと頭から地面へと向かい、片手1本でくるりと回転した。
それはまさに、鮮やかの一言だった。
「はい、次は亀井さんもどーぞ」
「…………いやいやいや!」
あっけらかんと言う衣梨奈に、絵里は強く手を振った。
「どーぞ、じゃなくてさ」
「できますって。亀井さん、運動神経良いし」
「いや、良いとか悪いとかじゃなく、コツから教えてよ」
至極まともなことを言ったつもりだったが、衣梨奈は「うーん」と考えたあと「ないです」と笑う。
ないとはどういうことだ、ないとは!
635 :
名無し募集中。。。
:2011/12/26(月) 21:06:55.87 0
「感覚ですよ。えいってやればいけます」
「いやいや、いけないから!」
「なんでですか、簡単ですよ。こうして……ほらっ」
衣梨奈はあっという間にハンドスプリングを成功させた。
そしてニコッと笑いピースを向けてくる。うん、鮮やか。見事!
いや、そうじゃなくてさ!なにが「ほらっ」だよ!
その後、衣梨奈に言われるがまま練習を繰り返したが、絵里は一向にハンドスプリングをマスター出来なかったことが言うまでもない。
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