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ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘)
400 :
名無し募集中。。。
:2011/12/23(金) 02:07:08.56 0
>>367
つづき…ではなくちょっと寄り道
絵里ははぁとため息をついて中学校の宿題をやる手を止めた。
衣梨奈と入れ替わってだいぶ時間が経ち、今日で何日目だっけと数える気もなくなった。
本当にこのままだったらどうしようという考えも、以前ほどは少なくなってきた。
結局、お互いにお互いとして生きていくしかないのかもしれない。
亀井絵里は生田衣梨奈として、生田衣梨奈は亀井絵里として。
そうして互いの時間を過ごしているうちに、自分がだれであるのかも、忘れるのかもしれない。
最初から、絵里は衣梨奈なのだと、錯覚を起こして生きていくのかもなと、何処かの小説のような話が思い浮かぶ。
だけど、それもそれで、ひとつの運命なのかなと、絵里はすっかりなじみ深くなった衣梨奈の部屋の天井を見上げた。
そのとき、絵里の、正確には衣梨奈のケータイが震えた。
相手を確認することもなく、絵里が「もしもし?」と話すと、向こうから「亀井さーん」という元気の良い声が聞こえた。
ああ、彼女かと、絵里は笑いながら「はいはーい」と返す。
「あの、亀井さん、いま何処にいますか?」
衣梨奈の声に混ざり、後ろから車が通る音がした。彼女は外にいるのだろうか、こんな夜にと思いながらも返事をした。
「家だよもちろん。どうしたの?」
「あ、やっぱそうですよね!じゃあ、家の前の道路まで出て下さい!」
401 :
名無し募集中。。。
:2011/12/23(金) 02:07:52.13 0
絵里が「え?」と聞き返すその前に、電話は切れてしまった。
いったいなんだろうと思いながらも、絵里は寝室で眠っている衣梨奈の母親に気づかれないように、上着を羽織って玄関へと向かう。
玄関を開けたとたん、冷気の塊が絵里に襲いかかって来た。さすが冬、当然、寒い。
まさかと思いながらも衣梨奈の指示通り道路に出て周囲を見回すと、その人物は果たしてすぐに見つかった。
「な、なんでいるの?」
絵里の問いかけに、衣梨奈は困ったように笑った。
その笑顔は、時折絵里が見せる表情そのもので、絵里は、本当に目の前の彼女は「亀井絵里」ではないのかと錯覚しそうになった。
「すみません亀井さん。どうしても渡したいものがあったので」
そう言うと、衣梨奈はカバンの中から小さな袋を取り出した。
それを衣梨奈は大切そうに扱い、絵里に手渡した。
「誕生日、おめでとうございます」
衣梨奈の言葉に絵里はハッとした。
そうだ、今日は12月23日……まさしく、亀井絵里の誕生日だった。
「……忘れてた…」
絵里は自分の誕生日を忘れかけていた。
毎年、0時ジャストにメンバーやスタッフの方にメールをもらい、家族からもプレゼントをもらって過ごしてきた誕生日。
それなのに、今年は生田衣梨奈として生きているため、絵里はそんなお祝いを当然視てもらっていない。
衣梨奈と入れ替わり、日々、生田衣梨奈として生きることに精一杯であったため、絵里は絵里としての自分を忘れかけていた。
402 :
名無し募集中。。。
:2011/12/23(金) 02:08:34.96 0
「亀井さん…」
目の前にいる彼女の声に絵里は我に返り、「ありがとう」とその袋を受け取った。
この大きさから考えるとアクセサリーだろうかと顔を綻ばせながら思っていると、衣梨奈は言葉を紡ぐ。
「…覚えてますから」
「え?」
「衣梨奈は……衣梨奈は、亀井さんが亀井さんだってこと、ちゃんと覚えてますから」
その言葉は真っ直ぐに絵里の心を射抜いた。
だれも知らない、ふたりだけの秘密。
絵里が衣梨奈に、衣梨奈が絵里になってしまったという、常識では考えられないような話。
元に戻る方法も分からないままに無駄に時は過ぎ、互いが互いとして生きていく日々を送っていた。
そのまま一生、だれにも分かってもらえずに、生きていくことも覚悟していた。
しかし、衣梨奈は知っている。絵里もまた、知っている。
衣梨奈が絵里として生き、絵里が衣梨奈として生きていることを。
403 :
名無し募集中。。。
:2011/12/23(金) 02:09:00.13 0
「元に戻ったら、お祝いしましょーね」
そうして衣梨奈はだらしなく笑った。
その笑顔は、普段絵里が見せる「うへへぇ」というような表情と似ていたけど、何処か、少しだけ違う気がした。
それは、亀井絵里という肉体の奥にある、生田衣梨奈の精神のせいなのかもしれない。
「うん、盛大にパーっとやろ!」
絵里もそこで、顔をぐしゃっと崩して笑った。
久しぶりに、こんなに笑顔になれたなとボンヤリ思う。
元に戻る方法は分からない。入れ替わったメカニズムさえもわからない。
だけど、だけど諦めちゃダメだ。
なにがあっても、迷っても、絶対に諦めない。
絵里は亀井絵里であって、衣梨奈は生田衣梨奈なのだから。
絵里は白い吐息を零し空を見上げた。空には雪白の月が輝いていた。
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