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ノノ*^ー^) えりがナマタでえりながカメで |||9|‘_ゝ‘)

202 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:05:13.59 0
絵里と衣梨奈、入れ替わってしまったふたりが1日過ごして分かったことがあった。
私たちは、似ている点も多いけど、違う点もやっぱり多い。互いの情報を共有しても、不安は拭いされることはない。

「衣梨奈ってそんなにKYですかねぇ?」
「ガキさんから聞くには、そうらしいけど」

ふたりっきりのリビングで、互いに向き合って絵里と衣梨奈は会話をしていた。

203 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:06:07.64 0
昨夜、衣梨奈が寝てしまったあと、絵里はシャワーを浴びて来客用の布団を敷き、眠りに就いた。
衣梨奈の裸を見てしまうことに抵抗がなかったわけではないのだが、1日使った他人の体を洗わないのもどうだろうと思った。
彼女に了承を得ようとするも、衣梨奈はとっくに夢の中を泳いでいたので、仕方ないと絵里は脱衣所へと向かった。
できるだけ彼女の裸体に目を合わせることなく、頭から脚の先まで洗うと、絵里は「はあ」と息を吐いて部屋へと戻る。

相変わらず自室では、衣梨奈、見た目は絵里の衣梨奈が眠っている。
傍から見れば、彼女の姿はこの空間にピッタリはまっているのだが、本来そのベッドで眠るのは、絵里、見た目は衣梨奈の絵里であった。
それは、彼女にベッドを占領されたことが嫌とかではなく、本来の体に戻りたいという願望だった。

せめて夢だったら良いのになと絵里は思いながら、来客用の布団で眠る。
しかし、朝目が覚めても、体は生田衣梨奈のままであった。
当然といえば当然かと思いながらベッドを見ると、亀井絵里の体である衣梨奈がちょこんと体育座りをして眠っていた。
なんでそんな恰好なんだろうと思いながら彼女の肩を揺すると、衣梨奈は「ふぇ?」と声を出して起きた。

「おはよ、生田ちゃん」
「……えりながおるぅ…」

あは、やっぱりそういう反応だよね。と絵里は笑うと、衣梨奈は目をこする。
そしてグッと伸びをして見慣れない部屋を見渡すと、徐々になにかを思い出して来たのか、「あー」と言葉を出した。
なんか、こういうアホっぽいというか間抜けなところは絵里と似ているなと思いながら、絵里はカーテンを開けた。
眩しい朝の光が室内に入り込んでくる。ああ、今日も良い天気だなあってぼんやり理解した。

「亀井さん……ですよね?」
「ん?んー、そうだよ」

衣梨奈の声に絵里が振り向くと、彼女は寂しそうに笑っていた。

204 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:06:41.41 0
「夢じゃ、なかったんですね…」
「…そうみたいだね」

そうして絵里は衣梨奈の頭をぐしゃっと撫でてやった。
自分の髪をこんな風にするのなんて想像もしていなかったなと思いながら、絵里は努めて明るく衣梨奈に話す。

「お風呂入ってきなよ。昨日1日入ってないから、なんか気持ち悪いでしょ?」
「あ、はい……って、良いんですか?!」
「んー…しょうがないじゃん。絵里ももう入っちゃったし」
「え、は、は、見たんですか!」

衣梨奈は絵里に掴みかからんばかりの勢いで声を上げた。
ああ、そのリアクションはごもっともですと思いながらも、「だいじょうぶ、そんなに見てないから」と笑った。
衣梨奈の方はなにを気にしているのか、頭を抱えながら「うわあああ…」と情けない声を上げた。

「絵里の体、そんなに綺麗じゃないから、引かないでね」

絵里がぽつんと呟いたその言葉に、衣梨奈は頭を上げた。
思わず口を突いて出た言葉に自分でドキッとした絵里は、慌てて手を振り、「ごめん、なんでもないから」と言って、箪笥へと歩く。
なにを言っているのだろう、これ見よがしに…と自己嫌悪しながら、絵里は衣梨奈に着せる服を選んだ。

205 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:07:06.46 0
絵里の発したその言葉は、衣梨奈を無意識に締め付けた。
絵里がモーニング娘。を卒業することを決めたのは、自分自身の体のことがあったからだった。
自分の最も弱い部分、コンプレックスと向き合い、発表した絵里。
自分の体の声に耳を傾け、薬に頼らず治療を続けていくことで、ゆっくりとではあるが確実に絵里の体は改善していった。
それでも、絵里のコンプレックスは拭いされない。それは仕方のないことかもしれないけど。

「はい、シャツとズボン。下着は買ったばかりのだから気にしないで」

笑顔で着替えを衣梨奈に渡す絵里の笑顔が、どうしても衣梨奈には寂しく見えた。
だけど、此処で「ごめんなさい」というのも空気を読んでいないと言われそうだったので、衣梨奈は「はい」と立ち上がった。
それでも、やっぱり「ありがとうございます」くらい言う方が空気を読んでいることになっただろうかと、脱衣所へ案内されながら衣梨奈は思った。

206 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:07:43.90 0
「絵里だってそんなにアホじゃないと思うんだけどなあ」
「新垣さんはぽけぽけぷぅだって言ってましたよ」
「ガキさんだって充分ボケなんだけどね。ツッコミまくるでぇとか言いながら訳分かんないこと言うし」

絵里がオレンジジュースを飲みながらそう嬉しそうに話した。
「ガキカメ」としてファンにも愛されたその片鱗がなんとなく見えた気がした。
このふたりが同じモーニング娘。で活動した期間は、衣梨奈のそれとは比べ物にならないくらいに長い。
その間にできた信頼関係は、衣梨奈が想像するよりもずっと深いものなんだろうなと思う。
それが素直に羨ましいなとも思うし、自分もいつか、そういう絆を、里沙だけでなく、同期の聖や里保、香音と築けるだろうかと思った。

「明日って撮影だっけ?」
「はい。亀井さんだったらなんなくこなせると思います!」

衣梨奈の言葉に絵里はふっと優しく笑った。
彼女は彼女なりに考えて言葉を選んだのだろうけど、たぶん、考えないで話した方が良いのかもしれない。

「衣梨奈…うまく笑えないときがあるんで…」

ココアを飲む手がふと止まった。
絵里はコップをテーブルに置き、衣梨奈の視線の先を追う。彼女はテーブルの中央を寂しそうに見つめている。
そして「亀井さんの方が、上手く笑えるから…」と消え入りそうな声で続けたので、絵里は「ガキさんがね」と遮った。

207 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:08:15.71 0
「ガキさんが言ってたよ、最近表情が良くなったって」
「…新垣さんが、ですか?」
「加入当初はムリしてた感じがあったけど、最近は自然に笑えてるって。仕事、楽しそうだって言ってたよ」

そうして絵里はニコッと笑って見せた。
衣梨奈は、目の前で微笑む自分の顔を正面から見つめた。それは何処までも真っ直ぐで純粋で、優しそうな笑顔だった。
本当に、こんな風に笑っているのだろうかと心配になったが、いまは絵里の言葉を信じることにした。
たぶん、疑ったところでなにも始まらないのだから。

衣梨奈は「はい」と言ってココアを再び飲んだ。
意外とこの子は、KYとか言われているけど、中学生になりにいろいろ悩んでいるのだろうなと絵里は思う。
早朝から仕事をしたり、10期メンバーが加入して、先輩としての仕事も増えてくる中で、プロとしての自覚を求められている。
人前に立つ以上、それは当たり前と言えばそうなのだけれど、もっと肩の力を抜いても良いのになと、
同期の道重さゆみよろしくの上から目線を自覚しながら、絵里はオレンジジュースを飲み干した。

「明日から…」
「うん?」
「……誤魔化せますかね?」

衣梨奈の言葉を聞き、絵里はうーんと声を出した。
正直、こんな小細工がいつまでも効くとは思えなかった。
里沙もさゆみも、れいなも愛佳もなんだかんだで根は真面目だし、長く同じ娘。に在籍していた絵里を信頼している。
9期メンバーだって、同期として衣梨奈を信頼しているから、彼女の変化には気づくはず。
「ぽけぽけぷぅ」と「KY」の入れ替わりがいつまでもバレないとは思えないが、とにかく元に戻るまでは誤魔化していくしかない。

208 :名無し募集中。。。:2011/12/19(月) 03:08:45.31 0
「…ご飯つくろっか」

絵里はそう言って立ち上がり冷蔵庫を開けた。
いまさらあれこれ考えても仕方ない。元に戻る方法を見つけるまでは、こうする以外にないのだから。
衣梨奈は後ろから覗き込み、「なにもないですね…」と呟いた。これは買いに行くしかないなと絵里は冷蔵庫を閉めた。

「亀井さんって料理できるんですか?」
「……最近は練習してる」

その言葉に嫌な予感を覚えながらも、衣梨奈は絵里とともにスーパーへと向かうことにした。
それは、明日メンバーと合流することになる不安よりも大きい気がしたが、衣梨奈はあえて、その感情を見ない振りをした。

結局、絵里の包丁捌きにドキドキしながらも文句を言わずに夕食を食べたのは言うまでもない。

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0ch BBS 2005-12-31