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ガキさんとスイカと風鈴と初夏の田舎の縁側と

489 :名無し募集中。。。 :2010/02/09(火) 23:37:40.99 0
…今日は良い天気だ。

こんな初夏の晴れた日には… 僕はあの日の事を思い出してしまう。

その日、僕は新垣と二人きりで川遊びに出かけた。亀井が何故来れなかったかは、もう覚えていない。

そして、山の中だって言うのに、新垣はなんと水着に着替えて登場したんだ。
「おいおい、いきなりこんなところで水着かよ?」
「いいじゃん、本格的に遊ぶんだから。君も脱いだら?服、濡れちゃうよ?」

結局、僕も上半身裸になって、ジーンズをたくし上げて川に飛び込んで行った。
水を掛け合ったり、魚を追いかけたり、虫を捕まえたりして、子供みたいに遊んだ。

でも、僕はそんな中、突然見せた新垣の表情に…、釘付けになった。
http://omame.dnsalias.net/offgaki/dat/offgaki1107.jpg

どうしたんだろう…? 新垣ってこんな子だったっけ?まずい、落ち着け、俺の心臓…!

「…新垣ってさ…」
「んー?何?」
「…い、意外と色白なんだな…」
「何よー、そんだけ?」
「そんだけって…、なんだよ?」
「女の子の水着姿を見たらボンッ!キュッ!ボンッ!だな!とか、あるでしょーがー!」
「ば、ばーか、そんなんじゃないだろおまえ」
「ふふ、まーねー」

なんだ、いつもの新垣じゃん。無邪気な新垣の笑顔を見ながら、僕は少しホッとしたんだ。


490 :名無し募集中。。。 :2010/02/09(火) 23:39:20.60 0
でも、その後…。ふと魚を追うのに夢中になっていた僕が顔を上げると、新垣がいなくなっていた。
「…あれ?」

少し探すと、すぐそばの岩陰に新垣はいた。 …でも、そこで新垣は泣いていた。

ハッとしたように顔を上げると、すぐに笑顔になった。でも、確かに新垣は泣いていたんだ。
http://omame.dnsalias.net/offgaki/dat/offgaki2500.jpg

「…どうしたの?」
「…なんでもない」
「なんでもなくて泣かないだろ…。どうしたんだよ…?」
「…なんとなくね…。楽しすぎて…、泣けちゃった」
「…なんだよそれ…」
「君は詩人じゃないなー!空が青すぎるだけでも詩人は泣けるんだよ!」

眩しいくらいの笑顔で、新垣は言った。僕も笑った。

それからの新垣は、いつもと変わりない、明るくて、楽しげな、そして少しうるさい新垣だった。

…でも、それは僕が何も気付いていなかっただけかもしれない。

夕方の帰り道、別れ際に新垣は言った。

「…楽しかったね…」
「うん。楽しかったな」
「…また、こんな風に遊べるといいね…」
「そうだなー、こんどまた亀井もいっしょに行こうぜ!」
「…ふふ、そうだね」
そう言って笑う、新垣の笑顔が少し寂しげに見えたのは、たぶん気のせいじゃなかったんだと思う。

491 :名無し募集中。。。 :2010/02/09(火) 23:41:19.76 0
…なあ、新垣…。君には未来が見えていたんだろう? 「もう一度」なんて無い事を、君は知っていたんだ。
だから君は…、あんなふうに寂しげに笑っていたんだ。そうだろう…?

「運命を変えて」 …君は言った。

僕には「運命」は変えられなかった。だから僕は今こうしてここにいる。
でも、それでも… こんなよく晴れた初夏の日には、どうしても君を思い出してしまうんだ。

そして、あの日言えなかった言葉をつぶやいてみるんだ。

「新垣、綺麗だよ …君はとても綺麗だ」

「そして僕は君の事が… 」

びゅうっと音を立てて風が吹いた。そして、僕の言葉はまた、あの日のように青い空にのみこまれて消えてしまった。

Fin

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