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【太宰】走れポメラニアン【小説】

1 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:50
かいて

2 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:50
2ゲット

3 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:50
sage

4 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:50
2げっと

5 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:50
「これでいいの?お兄ちゃん」
道重が俺に問いかけてきた。少し恥ずかしそうな表情、そして自らのスカートをまくり上げる姿
俺はそのままでいるよう指示し、道重の股間に顔を近づけた。そして目の前で丸見えになった下着を凝視する
道重の履いている木綿の下着は、純白でありながら局部のあたる部分を中心に黄ばみが激しく広がっている。
「ちゃんと1ヶ月同じ下着をはいていたようだね。偉いよさゆみん」
「うん。お兄ちゃんがそういうからさゆ、ずっと同じパンツはいてたの。おしっことかうんちしてもふいちゃ駄目っていう
からさゆおまたがむれむれしてかゆいのお。。」道重はそうつぶやくとむず痒そうに両足をもじもじさせた。
目の前で中学生の太ももと股間が揺れ動くのは本当に興奮する。俺は今すぐ下着をずり下ろして道重の性器に
むしゃぶりつきたい衝動に駆られた。しかしこのまま性交したのでは1ヶ月かけた楽しみがパーになる。
ここはぐっとこらえて早速行動に移した。「それじゃあ、僕ねっころがるから、僕の顔にしゃがみこんで
おまたを擦り付けてくれるかな。思いっきりグリグリとね」

6 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:51
俺は父ちゃんが読みたい

7 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:51
かわ(・∀・)イイ

8 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:52
>>5
早く続きを・・

9 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:53
ポメラニア出身の犬だからポメラニアン

10 :クリスチャン ◆CMHHH/Ipm2 :03/10/09 20:53
インターコンチネンタル王者

11 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:54
恥の多いポメラニアンでした

12 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:54
ポメラニアンは激怒した

13 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:54
||ハ||
||-^||<作ちゃん
||⊂||
||uu||

14 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:54
>>5
http://ex2.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1065543466
こっち逝け

15 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:54
やっぱ加護ちゃんは言う事もかわいいね

16 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:54
そんな幸子はおもむろにポメラニアンを抱き上げ

17 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:55
ポメラニアンは激怒した。

18 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:55
タンスにしまった

19 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:56
・・・ポメラニアンは車輪を取り外した・・・

20 :名無し募集中。。。:03/10/09 20:59
生まれついてのポメラニアンのせいで、子供の頃から損ばかりしている

21 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:00
ポメラニアンには先生と慕うひとがいた

22 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:01
東京ドーム清掃員の柴犬だ

23 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:02

もうダメだ・・・・・


ポメラニアンが・・・・・・ポメラニアンがやってくる!

24 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:03
国境の長いポメラニアンを抜けると、そこはポメラニアンだった

25 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:06
ポメラニアンは唸った

26 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:07
アイフル犬かよ

27 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:07
「ポメラニアン、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。
 私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。
 生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」

「前足でもいいですか?」

「いや、拳で頼むよポメラニアン」

「オレ、犬だし」

28 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:08
全開!ポメラニックオーラ!

29 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:10
しかし、ポメラニアンは走らなかった。

30 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:10
美少女仮面ポメラニアン

31 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:11
伊豆のポメラニアン

32 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:11
ポメラニアンは胸のコックピットを開けた

33 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:12
そんなポメラニアンにも一つ気がかりなこと・・・

34 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:14
うほっ!!いいポ(ry

35 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:14
そこでポメラニアンはドギマギしてしまった

36 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:16
とりあえずポメってみた

37 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:17
ポメってるンじゃねーよお前ら(プゲラ

38 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:20
ポメラニアンは自虐的だった

39 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:21
よく見たら雑種だった

40 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:23
ポメラニアンは、ちょっと買い食いした


41 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:28
ポメラニアンはピラニアに少しだけシンパシーを感じていた

42 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:30
ポメラニアンは、旅人の服を手に入れた

43 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:31
ポメラくんとニアンちゃん

44 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:32
走りつかれたポメラニアンは鬼退治を決意した

45 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:34
ポメラニアンはポメラニアンロボを召還した

46 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:37
ポメラニアンは居酒屋でもつ煮込みを頼んだ

47 :名無し募集中。。。:03/10/09 21:40
  ミ\__/ミ
   (・ω・ヾ <ポメラニアン?
    uu_)@


48 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:07
ポメラニアーーーン

49 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:09
ポメラニアン失格

50 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:11
ポメラニアン・失格。

51 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:13
本当だお兄ちゃん!

言っただろ、この家ポメラニアン飼ってるって

52 :名無しさん@英語勉強中:03/10/09 22:28
ポメラニアンはかつては過去からきたのと同じように今では未来からやってくる。

53 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:31
ポはポメラニアンのポ

54 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:32
ポメラニアン・オーヴァードライヴ

55 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:34
ポメラニアン歌ってた葛城ユキ背骨大丈夫かな

56 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:34
ポメラニアンに花束を

57 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:37
哀と幻想のポメラニアン

58 :名無し:03/10/09 22:38
ポメラニアン失格

59 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:40
ごらん、、これが叔父さんのポメラニアンだよ

以外と小さいんだぁ

可愛い

60 :名無し:03/10/09 22:40
僕は、ポメラニアンを3匹、見たことがある。

61 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:42
我輩はポメラニアンである

62 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:43
太宰治著
「蓄犬談」
読め

63 :名無し:03/10/09 22:45
 一匹は、ポメラニアンの中年時代、とでも言うべきであろうか、十歳前後かと
推定される頃の写真であって、そのポメラニアンが大勢の娘。に取りかこまれ、
(それは、その当時のメンバーからして、「ふるさと」の頃かと想像される)庭園の
池のほとりに、荒い縞の袴(はかま)をはかされて、首を三十度ほど左に傾け、
寒そうに震えている写真である。ふるさと? けれども、鈍い人たち(つまり、
娘。などに関心を持たぬ人たち)は、面白くも何とも無いような顔をして、
「可愛いポメラニアンですね」
 といい加減なお世辞を言っても、まんざら空お世辞に聞えないくらいの、
言わば通俗の「可愛らしさ」みたいな影もそのポメラニアンの笑顔に無いわけでは
ないのだが、しかし、いささかでも、娘。についての訓練を経て来たひとなら、
ひとめ見てすぐ、
「なっち、痩せてるな。。。」
 と頗る不快そうに呟き、毛虫でも払いのける時のような手つきで、その写真を
ほうり投げるかも知れない。

64 :名無し:03/10/09 22:48
 まったく、当時のなっちの笑顔は、よく見れば見るほど、何とも知れず、イヤな
薄気味悪いものが感ぜられて来る。どだい、それは、笑顔でない。なっちは、少しも
笑ってはいないのだ。その証拠には、なっちは、両方のこぶしを固く握って立っている。
人間は、こぶしを固く握りながら笑えるものでは無いのである。豚だ。豚の笑顔だ。
ただ、顔に醜い皺を寄せているだけなのである。
「皺くちゃ坊ちゃん」
とでも言いたくなるくらいの、まことに奇妙な、そうして、どこかけがらわしく、へんに
ひとをムカムカさせる表情の写真であった。私はこれまで、こんな不思議な表情の
なっちを見た事が、いちども無かった。

65 :名無し:03/10/09 22:50
ミスった畜生

66 :名無し募集中。。。:03/10/09 22:54
ある日の事でございます。
ポメラニアンはテレ東の楽屋の中を、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。
楽屋の中に集まっている娘のメンバーは、みんな玉のようにまっ白で、
そのまん中にある褐色の梨華ちゃんからは、何とも云えない好い匂が、
絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。

67 :名無し募集中。。。:03/10/09 23:05
二疋の蟹の子供らが青じろい水の底で話てゐました。
『ポメラニアンはわらつたよ。』
『ポメラニアンはかぷかぷわらつたよ。』
『ポメラニアンは跳てわらつたよ。』
『ポメラニアンはかぷかぷわらつたよ。』
 上の方や横の方は、青くくらく鋼のやうに見えます。
そのなめらかな天井を、つぶつぶ暗い泡が流れて行きます。
『ポメラニアンはわらつてゐたよ。』
『ポメラニアンはかぷかぷわらつたよ。』
『それならなぜポメラニアンはわらつたの。』
『知らない。』
つぶつぶ泡が流れて行きます。蟹の子供らもぽつぽつぽつとつゞけて五六粒泡を吐きました。
それはゆれながら水銀のやうに光つて斜めに上の方へのぼつて行きました。
つうと銀のいろの腹をひるがへして、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。

68 :名無し募集中。。。:03/10/09 23:10
チワワの歌の次はポメラニアンか?

69 :名無し募集中。。。:03/10/09 23:17
朝、食堂でスウプを一舐め、すっと吸ってポメラニアンが、
「ワン」
と幽(かす)かな叫び声をお挙げになった。


70 :名無し募集中。。。:03/10/09 23:54
臣安萬侶言。夫混元既凝。氣象未效。無名無爲。
誰知其形。然乾坤初分。歩匁螺爾黶之首。
陰陽斯開。二靈爲群品之祖。所以出入幽顯。
日月彰於洗目。浮沈海水。神祇呈於滌身。
故太素杳冥。因本教而識孕土産嶋之時元始綿[辷貌]。
頼先聖而察生神立人之世。寔知懸鏡吐珠。而百王相續。
喫釼切蛇。以萬神蕃息歟。議安河而平天下。
論小濱而清國土是以番仁岐命。初降于高千嶺。
神倭天皇。經歴于秋津嶋。化熊出爪。
天釼獲於高倉。生尾遮徑。大烏導於吉野。

71 :名無し募集中。。。:03/10/09 23:56
>>69
(・∀・)イイ!

72 :名無し募集中。。。:03/10/10 00:04
       ノノハヽo∈
       从 ´ ヮ`)>わ〜いれいなのスレだぁ〜♪
       (l]つ:)]つ
       く_,._,._,.ゝ
  εεε (__/"(__)

73 :名無し募集中。。。:03/10/10 00:06
       ノノハヽo∈
       从 ポメラ)>ニアンのスレだぁ〜♪
       (l]つ:)]つ
       く_,._,._,.ゝ
  εεε (__/"(__)

74 :名無し募集中。。。:03/10/10 01:01
 ポメラニアンは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の会長を除かなければならぬと決意した。
ポメラニアンには業界がわからぬ。ポメラニアンは、村の愛犬である。散歩をし、娘。と遊んで暮して来た。
けれども邪悪に対しては、犬一倍に敏感であった。きょう未明ポメラニアンは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のアザブの市にやって来た。

75 :名無し募集中。。。:03/10/10 01:22
ポメラニアンには父も、母も無い。女房も無い。十六の、内気な娘。と二人暮しだ。
この娘。は、村の或る律気な一牧人を、近々、花婿として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。
ポメラニアンは、それゆえ、花嫁の衣裳やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ。
先ず、その品々を買い集め、それから都の大路をぶらぶら歩いた。
ポメラニアンには竹馬の友があった。まきばおうである。今は此のアザブの市で、競走馬をしている。
その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。

76 :名無し募集中。。。:03/10/10 01:45
歩いているうちにポメラニアンは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。
もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、市全体が、やけに寂しい。
のんきなポメラニアンも、だんだん不安になって来た。路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈だが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。

77 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:00
しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。
ポメラニアンは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。
「会長は、人を潰します。」
「なぜ潰すのだ。」
「悪心を抱いている、というのですが、誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。」
「たくさんの人を潰したのか。」
「はい、はじめはあすかさまを。それから、さやかさまを。それから、タンポポを。それから、プッチモニ。を。それから、ミニモニ。を。それから、本体の娘。を。」
「おどろいた。会長は乱心か。」
「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、スタッフの心をも、お疑いになり、少しく派手な暮しをしている者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。
御命令を拒めば十字架を乗せられて、潰されます。きょうは、六人潰されました。」


78 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:07
 聞いて、ポメラニアンは激怒した。「呆れた会長だ。生かして置けぬ。」
 ポメラニアンは、単純な雄であった。買い物を、背負ったままで、のそのそアザブビルにはいって行った。
たちまち彼は、巡邏の警吏に捕縛された。調べられて、ポメラニアンの懐中からははがねのキバが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。ポメラニアンは、会長の前に引き出された。


79 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:16
「このはがねのキバで何をするつもりであったか。言え!」暴君キヤマザは静かに、けれども威厳を以て問いつめた。
その会長の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。
「娘。達を暴君の手から救うのだ。」とポメラニアンは悪びれずに答えた。
「おまえがか?」会長は、憫笑した。「仕方の無いやつじゃ。おまえには、わしの孤独がわからぬ。」
「言うな!」とポメラニアンは、いきり立って反駁した。「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。会長は、ヲタの忠誠をさえ疑って居られる。」
「疑うのが、正当の心構えなのだと、わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」
暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「わしだって、ミリオンを望んでいるのだが。」
「なんの為のミリオンだ。自分の地位を守る為か。」こんどはポメラニアンが嘲笑した。「罪の無い人を潰して、何がミリオンだ。」
「だまれ、下賤の者。」会長は、さっと顔を挙げて報いた。

80 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:20
「口では、どんな清らかな事でも言える。わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔(はりつけ)になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」
「ああ、会長は悧巧だ。自惚れているがよい。私は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、ポメラニアンは足もとに視線を落し瞬時ためらい、
「ただ、私に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。たった一人の娘。に、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」
「ばかな。」と暴君は、嗄(しわが)れた声で低く笑った。「とんでもない嘘を言うわい。逃がした小鳥が帰って来るというのか。」


81 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:24
「そうです。帰って来るのです。」ポメラニアンは必死で言い張った。
「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。娘。が、私の帰りを待っているのだ。
そんなに私を信じられないならば、よろしい、この市にまきばおうという競走馬がいます。私の無二の友人だ。
あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰ってこなかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ。そうして下さい。」

82 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:27
 それを聞いて会長は、残虐な気持で、そっと北叟笑(ほくそえ)んだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。
そうして身代りの雄を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの雄を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」
「なに、何をおっしゃる。」
「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」
 ポメラニアンは口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。

83 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:33
 竹馬の友、まきばおうは、深夜、アザブビルに召された。暴君キヤマザの面前で、佳き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。ポメラニアンは、友に一切の事情を語った。
まきばおうは無言で首肯き、ポメラニアンをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。まきばおうは、縄打たれた。ポメラニアンは、すぐに出発した。初夏、満天の星である。
 ポメラニアンはその夜、一睡もせず十里の路を急ぎに急いで、村へ到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、村人たちは野に出て仕事をはじめていた。
ポメラニアンの十六の娘。も、きょうは愛犬の代りに羊群の番をしていた。よろめいて歩いて来る愛犬の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさくポメラニアンに質問を浴びせた。
「なんでも無い。」ポメラニアンは無理に笑おうと努めた。「市に用事を残して来た。またすぐ市に行かなければならぬ。あす、結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」
 娘。は頬をあからめた。

84 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:41
「うれしいか。綺麗な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、村の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」
 ポメラニアンは、また、よろよろと歩き出し、家へ帰って神々の祭壇を飾り、祝宴の席を調え、間もなく床に倒れ伏し、呼吸もせぬくらいの深い眠りに落ちてしまった。
 眼が覚めたのは夜だった。ポメラニアンは起きてすぐ、花婿の家を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と頼んだ。
婿の牧人は驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、葡萄の季節まで待ってくれ、と答えた。ポメラニアンは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。
婿の牧人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにか婿をなだめ、すかして、説き伏せた。

85 :名無し募集中。。。:03/10/10 02:53
結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々ヘの宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。
祝宴に列席していた村人たちは、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持を引き立て、狭い家の中で、むんむん蒸し暑いのも怺え、陽気に歌をうたい、手を拍った。
ポメラニアンも、満面に喜色を湛え、しばらくは、会長とのあの約束をさえ忘れていた。祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外の豪雨を全く気にしなくなった。
ポメラニアンは、一生このままここにいたい、と思った。この佳い人たちと生涯暮して行きたいと願ったが、いまは、自分のからだで、自分のものでは無い。ままならぬ事である。

86 :名無し募集中。。。:03/10/10 03:01
ポメラニアンは、わが身に鞭打ち、ついに出発を決意した。あすの日没までには、まだ十分の時が在る。ちょっと一眠りして、それからすぐに出発しよう、と考えた。
その頃には、雨も小降りになっていよう。少しでも永くこの家に愚図愚図とどまっていたかった。ポメラニアンほどの雄にも、やはり未練の情というものは在る。
今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、
「おめでとう。私は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに市に出かける。大切な用事があるのだ。
私がいなくても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、決して寂しい事は無い。おまえの犬の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。
おまえも、それは、知っているね。亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの犬は、たぶん偉い雄なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」

87 :名無し募集中。。。:03/10/10 03:03
 花嫁は、夢見心地で首肯いた。ポメラニアンは、それから花婿の肩をたたいて、
「仕度の無いのはお互いさまさ。私の家にも、宝といっては、娘。と羊だけだ。
他には、何も無い。全部あげよう。もう一つ、ポメラニアンの飼主になったことを誇ってくれ。」
 花婿は揉み手して、てれていた。ポメラニアンは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、羊小屋にもぐり込んで、死んだように深く眠った。


88 :名無し募集中。。。:03/10/10 03:05
 眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。
ポメラニアンは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
きょうは是非とも、あの会長に、人の信実の存するところを見せてやろう。そうして笑って磔の台に上ってやる。
ポメラニアンは、悠々と身仕度をはじめた。雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、ポメラニアンは、ぶるんと尻尾を大きく振って、雨中、矢の如く走り出た。

89 :名無し募集中。。。:03/10/10 03:10
 私は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。会長の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。
走らなければならぬ。そうして、私は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、ふるさと。若いポメラニアンは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。
わん、わんと大声挙げて自身を叱りながら走った。村を出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣村に着いた頃には、雨も止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。
ポメラニアンは鼻の頭の汗を舌で払い、ここまで来れば大丈夫、もはや故郷への未練は無い。娘。たちは、きっと佳い夫婦になるだろう。
私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。まっすぐにアザブビルに行き着けば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。ゆっくり歩こう、と持ちまえの呑気さを取り返し、好きな小歌をいい声で歌い出した。

90 :名無し募集中。。。:03/10/10 03:17
 
     ミ\__/ミ 
      (・ω・ヾ  〜♪
       uu_)@

91 :名無し募集中。。。:03/10/10 09:15
ポメラニアンはとりあえずポメってみた

92 :あぼん用:03/10/10 12:27
ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、ポメラニアンの足は、はたと、とまった。
見よ、前方の川を。きのうの豪雨で山の水源地は氾濫し、濁流滔々と下流に集り、猛勢一挙に橋を破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木葉微塵に橋桁を跳ね飛ばしていた。
彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに吠えたててみたが、繋舟は残らず浪に浚われて影なく、渡守りの姿も見えない。
流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。ポメラニアンは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらゼウスに手を挙げて哀願した。
「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、アザブビルに行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、私のために死ぬのです。」

93 :あぼん用:03/10/10 12:32
 濁流は、ポメラニアンの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして時は、刻一刻と消えて行く。
今はポメラニアンも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。
ポメラニアンは、ざんぶと流れに飛び込み、百匹の大蛇のようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。
満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の犬の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍(れんびん)を垂れてくれた。
押し流されつつも、見事、対岸の樹木の幹に、すがりつく事が出来たのである。ありがたい。ポメラニアンは大きな胴震いを一つして、すぐにまた先きを急いだ。

94 :あぼん用:03/10/10 12:37
一刻といえども、むだには出来ない。陽は既に西に傾きかけている。ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊の山賊が躍り出た。
「待て。」
「何をするのだ。私は陽の沈まぬうちにアザブビルへ行かなければならぬ。放せ。」
「どっこい放さぬ。持ちもの全部を置いて行け。」
「私にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから会長にくれてやるのだ。」
「その、いのちが欲しいのだ。」
「さては、会長の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。」
 山賊たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。ポメラニアンはひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり、その棍棒を奪い取って、
「気の毒だが正義のためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。

95 :あぼん用:03/10/10 12:42
一気に峠を駆け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照って来て、ポメラニアンは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。
立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、山賊を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破して来たポメラニアンよ。真の勇者、ポメラニアンよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。
愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代の不信の人間、まさしく会長の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。

96 :あぼん用:03/10/10 12:52
身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐(ふてくさ)れた根性が、心の隅に巣喰った。
私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、私は精一ぱいに努めて来たのだ。動けなくなるまで走って来たのだ。
私は不信の徒では無い。ああ、できる事なら私の胸を截ち割って、真紅の心臓をお目に掛けたい。愛と信実の血液だけで動いているこの心臓を見せてやりたい。
けれども私は、この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な雄だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。
ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。まきばおうよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。

97 :あぼん用:03/10/10 12:58
いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、まきばおう。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。
友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。まきばおう、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。
信じてくれ! 私は急ぎに急いでここまで来たのだ。濁流を突破した。山賊の囲みからも、するりと抜けて一気に峠を駆け降りて来たのだ。
私だから、出来たのだよ。ああ、この上、私に望み給うな。放って置いてくれ。どうでも、いいのだ。私は負けたのだ。だらしが無い。笑ってくれ。
会長は私に、ちょっとおくれて来い、と耳打ちした。おくれたら、身代りを殺して、私を助けてくれると約束した。私は会長の卑劣を憎んだ。
けれども、今になってみると、私は会長の言うままになっている。私は、おくれて行くだろう。会長は、ひとり合点して私を笑い、そうして事も無く私を放免するだろう。
そうなったら、私は、死ぬよりつらい。私は、永遠に裏切者だ。地上で最も、不名誉の犬種だ。

98 :名無し募集中。。。:03/10/10 13:10
 それは或獣屋の二階だつた。二十歳の彼は檻にかけた西洋風の梯子(はしご)に登り、新らしい犬を探してゐた。
ボオダア・コリイ、ポメラニアン、セントバアナアド、土佐犬、柴、ボルゾイ、……
 そのうちに日の暮は迫り出した。しかし彼は熱心に犬の解説を読みつづけた。
そこに並んでゐるのは犬といふよりも寧(むし)ろ大自然それ自身だつた。
シイズウ、ヴルドッグ、ダルメシアン兄弟、ダックスフント、ドオベルマン、ラブラドオル、……
 彼は薄暗がりと戦ひながら、彼等の名前を数へて行つた。が、犬はおのづからもの憂い影の中に沈みはじめた。
彼はとうとう根気も尽き、西洋風の梯子を下りようとした。
すると傘のない電燈が一つ、丁度彼の頭の上に突然ぽかりと火をともした。
彼は梯子の上に佇(たたず)んだまま、犬の間に動いてゐる店員や客を見下(みおろ)した。
彼等は妙に小さかつた。のみならず如何にも見すぼらしかつた。
「人生は一匹(いつぴき)のポメラニアンにも若(し)かない。」
 彼は暫(しばら)く梯子の上からかう云ふ彼等を見渡してゐた。……

99 :名無し募集中。。。:03/10/10 13:22
 
     ミ\__/ミ 
      (-ω-ヾ  
       uu_)@

100 :あぼん用:03/10/10 13:32
まきばおうよ、私も死ぬぞ。君と一緒に死なせてくれ。君だけは私を信じてくれるにちがい無い。いや、それも私の、ひとりよがりか? 
ああ、もういっそ、悪徳者として生き伸びてやろうか。村には私の家が在る。羊も居る。娘。夫婦は、まさか私を村から追い出すような事はしないだろう。
正義だの、信実だの、愛だの、考えてみれば、くだらない。他を殺して自分が生きる。それがこの世界の定法ではなかったか。ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、醜い裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。
やんぬる哉。――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。

101 :あぼん用:03/10/10 13:43
 ふと耳に、潺々(せんせん)、水の流れる音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。すぐ足もとで、水が流れているらしい。
よろよろ起き上って、見ると、岩の裂目から滾々(こんこん)と、何か小さく囁きながら清水が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにポメラニアンは身をかがめた。
水を、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。
斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている馬があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている馬があるのだ。
私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! ポメラニアン。

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